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日本人学生研修事業

スーダンを訪ねて

九州大学医学部保健学科看護学専攻 2年
坂本 宗八
(05年8月8日〜8月20日)


今回、九州大学医学部熱帯医学研究会における活動の一環として、2週間という短い期間ではあったが、ご多忙中にもかかわらず川原先生からのご理解・ご配慮を頂き、また現地事務所アシスタント霜田さんのご協力もあり、こうしてスーダンにおける地域医療現場訪問旅程を無事終了できた。今回の活動を通して私なりに勉強になり、また今後への就学への意欲をこれまで以上に奮立たせてくれた点をいくつか紹介します。

1:医療とは人と人のつながりの上に成る
 NGO ロシナンテスは、スーダンにおける数少ない日本のNGOのひとつであり、また創設されて時間の浅いNGOであったこともあり、特に人のネットワーク作りのためにも精力的に奔走されていた。その効果を実感したのは、特に地方における医療施設や村などを訪れた際であった。これまで私の浅はかな理解のうえでは、医療というものは医療関係者と患者の信頼関係が最も重要であると考えていた。しかしここスーダンのように、特にコミュニティーの末端まで医療がしっかりと行き渡っていない環境においては、医療施設関係者のみならず、行政の上層部におけるキーパーソン、コミュニティーそのもののキーパーソン、コミュニティーにおける医療関係者までを総合的に取り込んで行きながら、今後の本格的な活動へ向けた人的ネットワーク構築に取り組むことが重要であることを実感した。日本のように情報が即座に飛び交い、交通手段が豊富である状況ではない環境であるからこそ、このような地道な訪問や関係者の協力を引き出すことのが、今後の活動へつながっていくものだと実感した。
2:国際協力の残したもの
 今回訪問できた地域の中で、過去に各国際機関や日本政府や諸機関の大先輩方が育まれてきた数々の技術援助や物的援助の名残を見ることができた。既知のように、日本政府はこれまでに莫大な資金を投入し、時に人材をも派遣して数々の支援行ってきた経緯を現地のスタッフから聴き、モノを見て、またその額の大きさに驚嘆もした。しかし残念ながら、このような施設などは金銭面の問題やスーダン国内の政治的問題のため、半分廃墟と化してフル活用されていないところもあり残念であった。同時に高価な医療精密機器が贈られてきたにもかかわらず、メンテナンスの技術者不足や部品の支援といったフォローアップが十分になされていなかったことは残念である。ロシナンテスはこのような地域で諸責任者との交流を通じ、リハビリ計画などの立案・提案にも奮闘されていた。今日本はヒトの支援にも重点を置くべきだという国内外からの声が大きい。単にこれまでのように現地のベネフィットのみではなく、スーダンにおいていえば、日本にはない各種感染症や特殊な疾患が存在していることを考慮すると、日本からの研究者や我々のような学生も受入れ可能な体制を設備することで、経済的、人的、また支援サイドとしてもノウハウを得られる体制を今後確立することが、少なくとも日本からの支援者サイドを納得させるものとなるのではないだろうか。
 個人的に母子保健分野に興味があり、今回地方で低栄養児の身体的特徴について5歳以下の児童を対象に調査や母親へのアンケートを行う機会を得た。詳細は割愛するが結果として、日本の母子手帳を基準に異常ないとされる数値と比較すると、訪問した村すべてにおいて日本の最低基準を90%以上の児童が下回っていることを把握できた。特に同じ地域であっても、遊牧民と定住型の児童の間には、例えば予防接種達成率や母親の希望する子供の数に違いがある事もわかった。ところで今回の調査結果を検討する際、なぜ日本のデータと比較したのかというと、スーダンにおいては長年続く内戦や政治不安などの理由で、スーダンにおける国としての信頼できる基準とするデータが無いからである。また現地での活動の一環として、アラビア語の母子手帳の普及にロシナンテス取組んでいる経緯もあった。これまで幾度となく南北の和平が締結されてきたが、本当に平和が訪れた後に始めてそのような全国統計をとるのだ、と訪問先の医師から聞かされたときは、まさにスーダンという国はスタート地点にやっと立てるか立てないかの状況であることを改めて実感した。
最後に、私ども学生を精一杯の歓迎で迎えてくださり、また調査に惜しみなく協力下さったドクター、地域コミュニティーの方々、そして食盛りの我々学生を不自由なく迎えてくださった川原先生、霜田さんに重ねて深謝申し上げます。ありがとうございました。

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