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日本人学生研修事業

スーダン滞在の感想文

鳥取大学医学部医学科 6年
福岡 晃平
(06年4月2日〜4月14日)


スーダンへ行くことになったきっかけはテレビのニュース番組でした。スーダンで川原先生が診療している姿が映っていました。しかも私と同じラガーマン。私の理想とする姿がそこにありました。
アフリカで医者をしたいと思い医学部に入ったものの、現実を知りなかなか難しいのかなと弱気になっていたときでした。
インターネットでロシナンテスのウェブサイトをみつけ、返事は期待せずにメールを送りました。

スーダンという国
出発の直前にやっとビザがおり、1日かけてスーダンへたどり着きました。
首都ハルツームは青ナイルと白ナイルが合流する地点を中心にひろがる大きな街です。街には車がいっぱいで街行くスーダンの都会っ子たちはケータイをぴこぴこいじりながら歩いています。街のあちこちで新しい建物が建設中で都会化が急速に進行しているのがわかりました。
首都でも田舎でも治安は非常によく、人々は親切で愛想が良いひとばかりです。急に呼び止められて食事をご馳走になったりしたこともありました。
特に田舎では親切レベルはさらに上昇し、腹がこわれるかと思うくらいのご馳走攻めにあいます。おかげでスーダン料理のほぼすべてを味見することができました。今後スーダンを訪問予定の学生の皆さんにはキャベジンを持参することを強くお勧めします。
一般の人たちはとてもいい人ばかりなのですが、政府、役所関係になるとはなしはちがいます。ひとつの書類をもらうのにあっちへこっちへたらいまわしにされます。役人にやる気はなく、そうとうイライラします。正規の手順で手続きを行おうと思うといつまでかかるかわかりません。そんなときは偉い人のコネを使います。警察OBやら弁護士やらいろいろな偉い人が登場し、おもしろかったです。今考えるとコネ無しで私のビザが出発に間に合ったのが奇跡に感じられます。
日本ではスーダンのいい噂は聞きません。貧困、ダルフール問題、テロ支援国家・・・など物騒な情報しか入ってきませんでした。実際ダルフールではまだ危険な状態が続いているそうですが今回私の訪問した場所は会う人みないい人ばかりで泥棒被害なども少ないらしく日本より平和なのでは?と思うくらいでした。本当の姿は実際自分の目でみてみないとわからないものであると実感しました。
アフリカは前から好きでした。今回またアフリカが、スーダンが好きになりました。
人は親切でご飯は美味しくて洗濯物がよく乾く。こんないいところはありません。

スーダンの医学生
スーダンの医科大学で講義と臨床実習に参加しました。
講義は基本的に英語でおこなわれます。内容は日本で習うのとほとんど変りません。先生は学生に問いかけながら話し、学生がそれに対して積極的に応答する活気のある講義でした。中には居眠りをしている不届きな学生もいました。とても親近感をおぼえました。
スーダンでは臨床能力を重んじるらしく、病院での実習が3年もあるそうです。日本ではたったの1年です。私の参加した小児科の実習では1人教授に対しの20人ほどの学生がついて勉強していました。まず学生が症例について発表し、皆で鑑別診断などについて議論したあと、先生に診察法について指導を受けながら実際に患者を診察します。ここでも学生達は積極的に意見を述べます。しかもみんなすばらしく綺麗にノートをとっています。見習わなければならないところがたくさんありました。
私も患者の診察をさせてもらえたので日本式の触診、打診など披露しました。といってもスーダン式もやりかたはほとんど同じでしたが。
学習する内容、手技ともに日本とそう変りはありません。しかし日本ではほとんど見かけない低栄養の子供が症例としてとりあげられました。スーダンの子供には多いそうです。実際に診察もさせていただき、詳しく勉強する良い機会になりました。
スーダンの先生や学生は急に日本から来た学生を優しく受け入れてくれ、丁寧に説明してくれました。本当に感謝します。

地方での巡回診療
川原先生が行っているガダーレフ州での巡回診療に同行しました。
今回は2箇所の村を訪問しました。赤ん坊からお年寄りまで1日100人程度の患者を診療しました。患者の多くは軽症で全く健康な人も多いです。しかしたまに重症の患者が来る事があります。その場合は大きな病院のある町まで行くように薦めるのですが、お金がなく行けないという患者もいました。医薬品も十分とはいえません。診療料金や薬代のシステムなどで現地スタッフや患者が不満を訴える場面もみられました。しかしロシナンテスの活動は確実に地域の人たちの信頼を得ていました。救急車導入など新しい計画も進行しています。診療のシステムもこれからの話し合いでもっと良くなっていきそうです。
今回の巡回診療でICTを用いたマラリアの迅速検査を行う機会をいただきました。
テスターに血液1滴と試薬をたらせば即座にマラリアに罹っているかが分かる優れものです。熱発している患者37名を対象に検査を行いました。結果、マラリアと診断された患者は一人もいませんでした。雨が降らず、蚊の少ない季節とはいえ、意外な結果におどろきました。
マラリア検査を日本で行う機会はめったに無いでしょうし、学生が泣きわめくちびっ子を押さえつけ観血的な検査を行うことも日本ではなかなかできません。とてもいい経験になりました。検査を行う機会を与えてくださった川原先生に感謝します。また、痛いのを我慢して検査に協力してくれた患者さんたちにも感謝します。村のちびっ子たちよごめんなさい。
たくさん泣かせてしまいましたが、村の子供たちはみなほんとうにかわいかったです。
これから医師としての技術を磨き、この子たちのために働きたいと思いました。

さいごに
1からものを創ることはとても大変で骨の折れる仕事だと思います。しかし同時にとても面白い事なのだと思います。なぜならロシナンテスの皆さんはいつも楽しそうです。いつも笑っています。スーダン政府からスパイ容疑をかけられてもみんなでげらげら笑っていました。
次々に問題が浮上しそれをひとつひとつ解決してゆく。解決すればみんなで喜び、また問題が浮上すればみんなで策を考える。毎日が充実しているようにみえました。自分も仲間に入って仕事をしたいなと思いました。
川原先生には様々な障害をもろともせず次々と新しいプロジェクトを打ち出し実行していく腕力や、地元の名士から日本の国会議員までいたるところに知り合いだらけの人脈の広さ、そして非常に甘え上手なところなどこれから生きていくうえで参考になることをたくさんみせていただきました。そしてアフリカで医者をするということはとても大変で相当な覚悟が必要であることを身をもって教えていただきました。
テレビをみてメールを送らなければこんなにすばらしい体験はできませんでした。思い切ってメール送ってよかったです。世界中をつなぐインターネット、Eメールはほんとに便利です。少し遅いですがIT革命のすごさを実感しました。
さいごに、すばらしい12日間を演出してくださった川原先生はじめロシナンテスメンバーの皆さん、そしてスーダンの人々に感謝します。この恩は将来医師としてスーダンに何かお返しができたらいいなと思います。それができるようこれからも医学の道を精進してゆきます。

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