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日本人学生研修事業

自己満足

熊本大学医学部4年
渡井 健太郎


 せめて生きるチャンスだけでも平等にしたい。日本人であろうとどこの国の人であろうと、生きるという最低限の安心は平等であってほしい。こんな願望を抱き、将来医師として何か出来ないかと思い悩んでいた。たしかに、過酷な環境の中でただ命を救い、生きる事を彼らに要求する事は、たんなる自己満足かもしれない。しかし、やはり生きていなければ何も始まらないのではないか。こんな自問自答のなか、ロシナンテスという団体に出会わせていただけた事は、大きな一歩であったと思う。

 今回のスーダン見学では、ハルツームから500kmほど離れた、川原先生の診療所のあるハサバラ村でほとんど全ての時間を過ごした。見渡すかぎりの地平線と強い日差しに照らされ流れていく雲。その大地と空の間を、心地よい風はすぎさっていく。いったいこの風は、どれだけ遠くから吹いてきているのだろうか・・・と想いをはせてしまう静けさである。そんな中、子ども達は屈託のない笑顔で遊んでいる。ロバを使って一生懸命水を運ぶ子供もいれば、重いタンクを一生懸命自力で運ぶ子供もいる。夜になれば静けさは増し、輝く月に照らし出された雲が流れていく。やはり、ここにはなにか、今の自分が失ってしまったなにかがあると痛切に感じる。その何かははっきり答えがでないが、少なくとも自分の心は満ち足りていた。たんなる旅行者が彼らの生活の一端を見てこのように感じる事は、自己満足かもしれないが、自分の魂は安堵感を得ていた。これが本来の人の暮らしではないかと。日本人として生まれてしまった自分が、ハサバラ村のような人のため、地球の環境のために何ができるのか、ただただ考えさせられる夜だった。

 川原先生と毎晩月明かりのもと将来を語り合い、検査オタクのイスマイルと一緒に顕微鏡をのぞき、人格者ムハンマドと村について語り合い、これから医師となった後の自分の姿を描いてみたが、結局自分の将来の答えなど簡単に出ないと納得できた。ただただ自分の興味のある分野へ進み、そこの分野から貢献すべきではないかと。しかし、この国スーダンにムハンマドやイスマイルなどといった人達が居ると知れた事が大きな励みであった。彼らのような人材がいるこの国スーダンに敬意を払いたい。

 これからも、この村のような環境の場所でいったい自分が何ができるのか、とずっと自問自答していくだろう。そして、これは自己満足か・・・それとも現地の人の長い目で見たときの正解なのか・・・と思い悩んでいくであろう。そして、今の自分に出来るのは、早く一人前の医師となり、患者さんに対して命に対して真摯に努力していきたい。

 この場をかりて、御礼を申し上げさせてください。
村の患者さん、村の方々、川原先生、霜田さん、竹友さん、荒井さん、馬場先生、ご協力ありがとうございました。

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