特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

ロシナンテスからの活動情報をご案内します。

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栄養改善2019.01.21

子どもたちの成長や母親の支えにも。スーダンでの栄養改善事業

こんにちは、ロシナンテス事業担当の堺です。
普段は東京事務所に勤務しているのですが、昨年12月にスーダンへ出張してきました。
進捗を確認するために視察した複数の事業の中から、今日は国連WFP(世界食糧計画)と現地NGOのSIDO(「サイドウ」)と共に行っている栄養改善事業の様子をご紹介します。栄養改善事業の概要については、現在スーダンに駐在中の寺田がブログでご説明していますので、そちらもぜひご覧ください。

ロシナンテスは、WFPやSIDOと協力し、北コルドファン州の7つの診療所で「Targeted Supplementary Food Program(TSFP)」という栄養改善事業を行っています。診療所内の複数の部屋でそれぞれ通常の診察や検査などが行われる中、私たちも一室を使って栄養改善事業を行っており、その場所は「TSFPセンター」と呼ばれます。私たちが訪ねたTSFPセンターでは、普段は1日に6人程度、多い日には20人程度が診察を受けるのですが、私たちの視察中には3人の子どもがセンターを訪れました。

栄養改善事業に携わるWFP職員やTSFPセンターのスタッフと

TSFPセンターでは、身長・体重・二の腕の太さを主な指標として母子の栄養状態を判定し、栄養不良の程度に応じて、栄養補助剤の支給や栄養に関するアドバイスを行います。栄養不良が認められた母子に対しては、栄養状態が「正常」と判定されるまで毎月TSFPセンターで診察を受けることを勧めます。

この日の受診者の一人めは、1歳8か月の女の子とその母親。
今回は2回目の受診です。この日はTSFPセンターで診察を受ける日ではありませんでしたが、予防接種のために診療所に来たのでTSFPセンターにも立ち寄ったのだそう。1週間後に診察日を控えていたので、この日は診察を行わず、母親がスタッフと栄養に関する話をして帰っていきました。TSFPセンターは母親にとって気軽に立ち寄れる身近な存在なのだなと思いました。

二人めは、今回初めて受診した1歳前後の男の子とその母親。
初めて診察を受ける子どもに関しては、名前など基本的な情報を登録します。
栄養状態を簡易的に判定できるカラフルな巻き尺で二の腕の太さを測定した後、体重と身長を測定。体重は部屋のドアにつるした吊りばかりで測ります。また、2歳未満の子どもの身長は、子どもを横に寝かせ、スタッフの一人が頭を、もう一人が足をおさえて測ります。測定の結果、この男の子は至急栄養補助を行う必要はないと判断され、今後経過を見守ることになりました。次回の診察は1ヶ月後です。

三人めは、生後6か月未満の男の子。
こちらも今回が初めての受診です。一緒に訪れた母親は耳が聞こえないため、スタッフとのやりとりは男の子の祖母が行いました。母親にとって初めての出産でしたが、この家族は医療施設から離れた場所に住んでいるため、医者に診てもらうことなく出産したのだそう。医療が届いていない現実がそこにはありました。
この男の子は、最近食欲がなくミルクを飲まないとのことで受診したのですが、二の腕の太さ、身長、体重を測定した結果すべて正常で、TSFPセンターで行える処置はありませんでした。スタッフから祖母へ、イラスト付きの冊子を見せながら授乳方法を説明した上で、医者に診せるよう勧めて診察を終えました。

今回の視察を通し、子どもたちの栄養不足や医療を受けられない人々の存在をあらためて認識しました。一方で、栄養改善事業が母親の支えになっている側面も見ることができました。今後も、事業パートナーと協力してより多くの人に医療を届けていきたいと思います。

栄養改善2017.12.28

まだまだできることがある。砂漠の村での栄養改善

こんにちは、スーダンの活動現場を見てきて張り切っている寺田です。
先日に引き続き、出張のご報告をいたします。

今回は、北コルドファン州の栄養改善事業についてです。

ロシナンテスは、北コルドファン州オンムダム・ハージ・アハメド地域にある7つの診療所で、国連WFP(世界食糧計画)と現地NGOのSIDO(「サイド」と発音します)と共に栄養改善事業を展開しています。

今回はWFP、SIDOのスタッフとともに3つの診療所を視察しました。加えて、州政府の人道支援委員会の委員長も参加し、州政府のこの問題への関心の高さを感じました。

この栄養改善事業は、生後6ヶ月~59ヶ月の子どもと、妊娠中、授乳中の女性を対象にしています。
成長期の子どもや、胎盤や母乳を通して赤ちゃんを育むお母さんが栄養不良に陥ると、子どもの成長発達が妨げられて障害が生じたり、病気に対する抵抗力が低下したり、深刻な場合は死に至ることもあります。
そんな悲劇を防ぐための活動が栄養改善事業です。

本事業の対象となっている診療所には、数名ずつボランティアがいます(大多数が女性ですが、男性も活躍しています)。
ボランティアは、各村のリーダーからの推薦を受け、3日間の研修を修了しています。まず、彼女たちが村を訪問して栄養不良の人がいないかどうかをチェックします。栄養状態チェックでは、巻尺を使って二の腕の周りの長さを測り、二の腕の太さによって「正常」「栄養不良」「深刻な栄養不良」と判定します。
そして「栄養不良」「深刻な栄養不良」と判定された人に、さらなる検査のために診療所に来るように勧めます。

診療所にやってきた栄養不良の子どもや女性をみるのは、栄養アシスタント(この地域では全員女性)です。身体測定をし、栄養不良の程度に応じた栄養補助剤を渡します。
また、栄養アシスタントはWFPや地域保健局等が実施した研修で栄養について学んでおり、母乳や離乳食の大切さや栄養価の高い食事についての情報を伝えるのも彼女たちの大事な役割です。視察中、この地域でも比較的大きなオンムダム診療所では時間をかけて色々な話を聞くことができました。栄養アシスタントの一人は、研修の修了証を誇らしげに並べながら「たくさん勉強させてもらったので今の仕事で困っていることは特にないけど、年少期の子どもの栄養についてもっと学びたい」と話してくれました。

オンムダム診療所の栄養アシスタントと修了証

栄養補助剤支給の対象となった人たちは、「正常」と判定されるまで毎月チェックにやってきます。この日のオンムダム診療所でのフォローアップ対象者36人のうち、12人は栄養状態が改善し「正常」と判定されたとのことでした(7ヶ月経っても改善がみられない場合は、もっと大きな施設で対応してもらうことになります)。

栄養アシスタント手作りのポスター

この地域では7割以上の家庭が牧畜や農業で生計を立てています。自然の恵みである家畜や農産物に依存する生活は、水のあるなしにダイレクトに影響を受けます。ある栄養アシスタントからは「11~7月の乾季の間、特にソルガムの刈り入れが終わった1月以降は農作物もとれなくなり、家畜のミルクも出なくなるので、最も栄養状態が悪くなる」との声を聞きました。また、舗装路を降りてから車で2時間近くもかかるオンムダムでは、地域外から食糧を運び入れることも容易ではありません。
栄養問題は、住民の貧困や、知識不足、食習慣、そして、公共サービスの不足や人口増加、厳しい自然環境など、様々な要因が複雑に絡み合っており、すぐに解決できるような問題ではありません。まるでドン・キホーテ(とロシナンテとサンチョ)の前に立ちはだかる大きな風車のようです。一度にその要因全てを解消することは難しいですが、地域の関係機関の皆さんの思いを聞いて、栄養改善は決して「手の届かない星」ではないと感じました。
これからも現地の人たちと話し合ってそれぞれの役割を確かめながら、ロシナンテスとしてできることをひとつひとつ進めていきたいと思います。

SIDO、オンムダム地域政府、州政府の職員との話し合い