アフリカ初!ポータブルX線のガイドラインを作成
こんにちは、ロシナンテスの川原です。
我々がザンビアで導入したAI診断付きポータブルX線装置ですが、これを使用するにあたってザンビアの一部の放射線技師たちから、従来通りのルールでの運用をするように指摘されてきました。彼らは、放射線を取り扱うことで深く学び、実践してきていますので、その気持ちはよく理解できます。しかし、それではせっかく開発したポータブルレントゲンの良い点がなくなってしまいます。
日本の様子を思い浮かべると想像がつくと思いますが、病院にはレントゲン室が設置されています。あれば、レントゲン撮影の際に周囲に放射線が行かないように壁を厚くし、鉛のドアで覆うようにしているのです。今回ザンビアの導入したポータブルX線は、微小線源でレントゲン機器と2メートルの距離を置けば周囲の被曝の影響は問題ないとされています。ゆえに、レントゲン室を作る必要はないのです。

新しい医療機器なので、それに準じるガイドラインがないのが問題であると考えました。そこで、保健省に問いかけザンビア独自のガイドライン作成を依頼しました。我々がコーディネートをして、数ヶ月かけてガイドラインができました。

調べてみるとこのガイドラインはアフリカの国では初めてのようです。
このガイドラインの交付式は7月22日に行なわれました。残念ながら私がザンビアにいなかったため、駐在員の佐藤良くんがしっかりとスピーチを行ってくれました。

佐藤くんですが、実は文系であり医療のバックグランドは全くありませんでした。しかし、この事業を担当することにより、ロシナンテス理事で感染症医の高山義浩先生のアドバイスなどを受けながら、とてもよく勉強してくれました。彼抜きでは、結核診断事業はここまでうまく行かなかったと思います。昨年は、沖縄で開催されたグローバルヘルス合同大会で発表をしてくれました。

彼は、欧州でさらに勉学を極めたいとのことです。快く送り出してあげたいと思います。
米国など主要な国々が保健分野において援助を縮小させてきています。
ザンビアでは、PCRを用いての結核診断が主として行なわれてきましたが、前述の援助の縮小傾向で従来の診断方法では立ち行かなくなってきています。このような中、我が国が医療の国際貢献をする上で、今後どのように行っていくのか大いに検討すべきであると思います。そのような観点からも日本の企業が開発した医療機材をザンビアの現場でどのように使っていくのかが課題となります。今回のガイドライン策定は大きな一歩であると考えています。