特定非営利活動法人ロシナンテス

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院内感染のリスクを減らし、差別や偏見から患者を守る「結核専用の診療所」建設に着手

こんにちは、ザンビア駐在員の佐藤です。皆さまのご支援を受け、6月下旬より中央州チボンボ郡のムワチソポラ病院にて結核診療所の建設を開始いたしました。

ムワチソポラ病院はロシナンテスが結核対策事業を実施している病院の一つですが、これまで結核専用の診療所がなく、結核患者さんは他の外来患者さんや妊婦さんと同じ待合室で診察を待っている状況でした。このような環境では院内での感染拡大のリスクが高まりますし、「結核にかかっている」と周囲に知られてしまうことで、患者さんが差別や偏見(スティグマ)を受ける恐れもあります。

診療所の待合室

また、ロシナンテスが2023年から導入したポータブルX線装置による検査体制の強化に伴い、結核と診断される患者さんの数も増えています。ムワチソポラ病院では、2022年に77人だった結核患者数が、2024年には106人と約37%増加しました。しかし現状では、病院の医療スタッフが通常の外来診療も兼任しているため、結核疑い患者が来院した際に十分な対応ができない場合がありました。

こうした状況を少しでも良くするためにマスクの配布なども実施しながら、根本的な改善策について、施設や地域の保健局と議論を進めてきました。その結果ロシナンテスとして、結核専用の診療所建設を支援することを決めました。併せて郡保健局と連携し、結核診療に特化した医療従事者を2名以上配置してもらう準備も進めています。

結核患者さんと他の患者さんが接触する機会を減らすことで、安心して治療を受けられる環境を整えます。また専門スタッフが常駐することで、結核疑い患者や結核患者が見逃されることなく、確実な診断と治療が行えるようになります。

この診療所が完成すれば、ムワチソポラ地域の結核対策は大きく前進し、多くの患者さんが早期に適切な診断と治療を受けられるようになります。そして、この取り組みがザンビア全体の結核対策のモデルケースとなり、広がっていくことも期待しています。

建設中の結核専用の診療所

現在、診療所の外観はほぼ完成しつつあり、9月上旬〜中旬頃には工事が完了する見込みです。完成後には、チボンボ郡政府・保健局、ムワチソポラ病院、地域住民の皆さまと協力し、開所式を行う予定です。皆さまのご支援で実現したこの診療所が、地域医療にとってどれだけ重要な意味を持つかを、改めて現地の方々と共有していきます。

皆さまからのご支援が、このように現地で具体的な形となり、地域の命を守る拠点を築くことに繋がっています。改めて心より感謝申し上げます。今後も工事の進捗や現地での活動について、随時ご報告してまいりますので、引き続きご支援・ご声援のほど、よろしくお願いいたします。