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故郷を離れる人々~忘れられた世界最大の人道危機と強制移動

命を守るために、愛する故郷を離れなければならない人が世界にはたくさんいます。2023年4月にスーダンで内戦が始まって以来、スーダンにおける人の移動は急増し、世界最大規模の強制移動危機となっています。

強制移動(forced migration)とは、紛争、迫害、災害、開発事業などのさまざまな要因によって、人々がやむを得ず住んでいた場所を離れ、別の場所へ移動することを指す包括的な用語です。言い換えると、望んでいないにも関わらず、社会の状況によって強制的に移動せざるを得なかった人々とも言えます。生命の安全や生活の維持のために、他に選択肢がない状況下で移動を強いられる点に特徴があります。

一般的に、この強制移動を強いられる人々には、難民、国内避難民、庇護希望者などが知られています。

  • 難民(Refugee): 紛争や迫害を逃れて国境を越え、国際法によって保護される人々。
  • 国内避難民(Internally Displaced Person, IDP): 難民と同様の理由で、国境を越えずに自国内にとどまる人々。
  • 庇護希望者(Asylum seeker): 難民認定を求めて他国で申請中または予定の人々。

しかし、国連などの国際機関の報告書の対象となっていない「不可視の移民」と呼ばれる人々が存在します。「不可視の移民(invisible migrants)」とは、社会的に認識されにくく、公的な統計や支援の対象から見過ごされがちな移動者を指す概念です。

自力で何とか航空券などの移動手段やビザを取得し、国外へ逃れた人々もいます。彼らは国際的な統計に含まれず、国際機関からの支援対象にもなっていません。彼らはその後も、自分で外国での滞在資格(ビザ)を確保し、外国で生計を立てる方法を切り開かねばなりません。

2024年、スーダンは世界最大の国内避難民を記録しました。国内避難民が約1,100万人、難民もしくは庇護希望者として国外へ避難した人が約400万人にも達していると言われています。この400万人には、内戦以前にスーダンにいた他国からの難民約80万人も含まれています。加えて、「不可視の移民」と呼ばれる人々に至っては、公表されている統計がない以上、我々がその実数を知ることはできません。

エジプトへ続く幹線道路


2024年4月のブログでは、ロシナンテスのスーダン人スタッフのタグワとラビーアの内戦開始後の手記をお伝えしています。

自力でパスポート、エジプトの滞在資格を取得したタグワは、国内避難民を経た「不可視の移民」の一人です。

“私たちは戦争の惨禍から逃れるため、エジプトに向かうことを決めましたが、道のりは険しいものでした。道中武装集団に遭遇し、脅されて他の乗客やバスの運転手とともに現金1500スーダンポンド以上が奪われました。2日後、私たちはエジプトとの国境に到着しましたが、入国手続きに7日間かかりました。通常、スーダン人の女性、子ども、50歳以上の男性は事前のビザなしでエジプトに入国できますが、期限切れのパスポートや緊急旅券では入国することができない決定がなされていたため、スーダン人全員に入国ビザの取得が義務づけられることになりました。私の家族はエジプトに渡ることができましたが、パスポートを持っていない私は、入国ビザを取得するまで北部の町で4カ月を過ごさねばなりませんでした。(タグワの手記より抜粋)”

理事長の川原と事業担当のタグワ。エジプトで久しぶりの再会!

ラビアは、子供の教育を最優先に考え、現在難民としてエジプトに滞在していますが、国内避難民、庇護希望者を経た難民の一人です。

“スーダンのハルツームで内戦が勃発したとき、私は子どもたちを安全な場所に連れていくことだけを考えていました。内戦が始まり子どもたちは学校に通えなくなりました。私は夫と2人の子どもたちとともに、エジプトへ北上する長い旅に出ました。

国境沿いには大量の難民がいて、国境を越えるのに2時間ほど歩きました。バスとフェリーを使い、エジプト南部の最初の村アブシンブルに到着した後、7時間かけて南部の都市アスワンに到着しました。その後、約1千キロ離れたカイロへ向かいました。

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に難民として登録し、難民登録カードの取得を進めています。しかし、これは一時的なものなので、さらに滞在ビザを申請する必要があります。とても重要なできごとは、息子たちを学校の生徒として登録ができたことです。(ラビーアの手記より抜粋)”

エジプトでラビーア一家と再会!

スーダンは現在も非常に深刻な状況ですが、ウクライナやガザなどの他の紛争に比べて、その危機的状況は国際社会で十分な報道がなされていません。スーダンが国際的な注目や資金援助を十分に集められていない状況を受け、国際機関やNGOなどでは「忘れられた世界最大の人道危機」とも呼ばれています。

みなさまが関心を寄せてくださることが、スーダンの人々の力となります。一人でも多くの方にスーダンについて知っていただけるよう、これからも発信していきます。