特定非営利活動法人ロシナンテス

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ここまでやるの?地域に欠かせない結核ボランティアの役割

こんにちは、ザンビア駐在員の佐藤です。今回は、ザンビアでの結核対策事業において欠かせない存在である「結核ボランティア」についてご紹介します。

ザンビアでは多くの病院や診療所に、医療従事者とは別に「結核ボランティア」が所属しています。人数は施設によって異なりますが、ロシナンテスの事業地である郡病院では8名ほど、診療所では5〜7名が活動しています。

ボランティアの人々とその活動

ボランティアの方々は様々な背景を持ち、それぞれの生活と両立しながら活動を行っています。

例えば、リテタ郡病院に所属するシンディさん (写真左)は、普段は病院正門前でフリッター(ザンビアの揚げパン)やサモサ、飲み物を販売して生計を立てています。その傍らで、病院の結核ボランティアとして啓発活動や患者さんの支援を行い、仕事とボランティアを上手に両立させています。

左がシンディさん、右が駐在員の佐藤

また、事業地の一つであるムワンジュニ診療所のムファさんは農家で、自宅で野菜を栽培して生計を立てています。

インタビューに応じるムファさん

子育てが一段落し時間に余裕ができたことと、地域の人々を助けたいという心からの思いからボランティア活動に参加しています。ムファさんは濃厚接触者の追跡、受付業務の手伝いや結核スクリーニングを担当しています。彼のスクリーニングによって疑い患者として登録されなければ、喀痰検査やX線検査が行われないため、とても重要な役割です。ムファさんにインタビューした動画もありますので、ぜひご覧ください!

ボランティアの主な活動内容

結核ボランティアの活動は、大きく以下の7つに分かれます。

  1. 病院や診療所、地域での結核スクリーニングの手伝い
  2. 喀痰採取と検査室への提出
  3. 患者情報の台帳記入
  4. 医療施設や地域での結核啓発活動
  5. 患者の治療フォローアップ
  6. 濃厚接触者の追跡と必要時の喀痰採取
  7. 患者のX線検査へのエスコート

活動頻度は人によって異なりますが、多い方だと週に3〜4日、朝から夕方まで活動されています。無償でここまでの業務を担うボランティアの方々に依存している状態には課題もありますが、彼らの存在は地域の保健医療にとって欠かせないものとなっています。

結核ボランティア研修の実施

ロシナンテスは、ポータブルX線装置の導入に伴い、2025年6月と7月に「結核ボランティア研修」を実施しました。この研修の目的は、結核やその治療に関する正しい知識と、その伝え方をしっかりと習得すること、さらに啓発活動を実践的に学ぶことにありました。講師として、事業地であるチボンボ郡保健局の結核担当者と、中央州カブウェ中央病院の結核担当者にご協力いただきました。

研修の様子

研修では、ボランティアが実際に地域で直面するケースについて話し合い、濃厚接触者追跡の家庭訪問時にどう対応すべきかをロールプレイ形式で学びました。特に印象的だったのは、結核に関する地域の迷信が今も根強く残っている点です。

例えば、「HIV患者が咳をすれば全て結核」「祈祷師に頼らなければ治らない」と信じている人もいます。

こうした文化を一方的に否定するのではなく、地域に根付いた価値観と共存しながらどのように正しい医療情報を伝えていけるかを考えることが非常に重要だと感じました。しかし、外部から来た私たちが直接話すと受け入れてもらえないことも多いため、地域に密着しているボランティアが架け橋となることが何より大切です。

課題と今後の展望

現在、ボランティアは無償で活動していますが、この体制を長期的に続けるのは困難です。とはいえ、ロシナンテスが賃金支払いを実施し続けることも現実的ではありません。今後は、ボランティアに過剰な負担をかけず、地域の保健指標を向上させる体制を、保健省、保健局、病院や診療所、そして地域の酋長と共に計画し、構築していく必要があります。

研修内では2026年3月までの活動計画も策定し、2ヶ月ごとに進捗確認の会議を実施していく予定です。研修修了後には、受講の証としてボランティアベストを配布し、今後の活動時に着用してもらうことにしました。

引き続き結核ボランティアの皆さんと共によりよい形を模索しながら、地域医療・保健活動に取り組んでいきます。

研修を終えたボランティアの皆さんと