スーダン・ダルフールの人道危機と復興への希望
こんにちは、ロシナンテスの川原です。スーダンに関係する様々な知り合いから悲しいニュースが舞い込み、本当に心が痛い日々を送っています。多くがニュースサイトからの情報となりますが、1人でも多くの方に状況を知っていただきたくブログを書いています。
10月26日、準軍事組織のRSF(Rapid Support Forces:即応支援部隊)がスーダン西部に位置する北ダルフール州の州都エル・ファシェをほぼ掌握しました。激しい内戦が続いていたスーダンのダルフール地方ですが、状況がより緊迫し、日本のメディアでも報じられています。
AP通信によれば、医療団体「スーダン医師ネットワーク(Sudan Doctors Network)」などから、市内で民間人が多数殺害されていること、病院や住宅街での暴力・射撃・略奪が発生していることなどが報告されています。
民間人への被害と医療機関への攻撃
エル・ファシェでは女性や子どもを含む市民が暴行や銃撃の被害に遭っており、人々は着の身着のまま、爆撃や銃撃を逃れて近隣の都市タウィラに逃れています。現在までの間に、タウィラには65万人以上の避難民が流入していますが、今回のRSFの攻撃によってその数は膨れ上がっているようです。北ダルフール州都エル・ファシェから脱出した女性たちによる「爆撃や銃撃を逃れて移動した」「道には多くの遺体が放置されたままの状態だった」といった証言が報道されています。
さらに深刻なのは医療機関への攻撃です。西部ファシェルのサウジ産科病院では、RSFによる襲撃で患者や付き添いの人々を含む460人以上が殺害されています。
駐日スーダン大使との対話と復興への希望
本日、駐日スーダン大使館を訪問し、エルヤイヤフ・ハイドゥーブ大使、アリ・モハメド参事官からも直接話を伺いました。RSFがダルフールを一時的に制圧していますが、スーダン国軍が確実に戻り、制圧を進めるとの強い意志が示されました。
本当に厳しく、心が痛む状況ですが、希望もあります。首都ハルツームでは政府機関が復帰しつつあり、復興の兆しが見え始めています。港湾都市ポートスーダンの治安は安定しており、大使館としては日本の外務省に危険レベルの引き下げを要請しているとのことです。
先日開催されたTICAD9(第9回アフリカ開発会議)では九州大学とスーダン大使が保健分野でのアクションプランに署名。デジタルヘルスやAIを活用した医療支援を、スーダンでも展開していく方向です。また国連人口基金と当団体が申請した補正予算が採択され、母子保健事業の支援に充てられることとなりました。復興を目指すスーダンの一助になるよう努めていきます。
日本からできることが少なく、本当にもどかしい日々です。しかし自分たちにできることを着実に進めながら、スーダンに一日も早く平穏が訪れることを祈り続けたいと思います。
