安心して治療を受けられる「結核専用の診療所」が完成
ザンビアのムワチソポラ病院に併設する形で建設を進めていた結核専用の診療所が完成しました!

院内感染のリスクを減らし、差別や偏見から患者を守る
ムワチソポラ病院はロシナンテスが結核事業を実施している病院の一つです。これまで結核専用の診療所がなかったことで、下記のような問題が発生していました。
- 結核患者と他の外来患者が同じ待合室を使うことで、院内感染のリスクが高まる
- 結核感染が周囲に知られてしまうことで、患者が差別や偏見(スティグマ)を受ける恐れがある
- ポータブルX線装置の導入で結核の早期発見が進み、既存の診療体制で対応しきれなくなっている
- 医療スタッフが通常の外来診療と結核対応を兼任しており、結核疑い患者への迅速な対応が困難
郡保健局と協議を重ねる中で、結核診療に特化した専用施設の整備が必要と判断し、建設を支援してきました。
開所式には地域住民たちも参加
9月に無事建設が完了し、開所式が行われました。

当日は郡保健局や行政関係者のほか、地域住民の皆さんもお招きしました。老若男女たくさんの方が参加してくださり、関係者からのご挨拶、完成をお祝いするセレモニーの他、演劇やダンスも行われました。

郡の行政責任者がスピーチの中で「診療所の持続的な運営には、地域住民の協力も不可欠である」と強調していたのが印象的でした。地域を巻き込んで、お祭りムードの中で開催することができました。
啓発目的の演劇が大盛り上がり!
ザンビアでは、様々な啓発を劇を通して行う風習があります。今回も、地元の演劇グループによる劇が催され、参加した大人から子どもまで、診療所の役割を深く理解する機会となりました。

この日行われた演劇は、結核の症状や兆候などを伝え、特定の症状があれば、近くの病院や診療所に行くように促す内容のもの。
- 主人公は咳や体調不良に悩まされている中年のお父さん
- 妻に病院受診を勧められるも、本人はトラディショナルヒーラーのところに行こうとする
- 最終的には説得されて結核診療所を受診
- 結果、症状が寛解する
といったシンプルなストーリーではありますが、結核の症状や取ってほしい行動について知ってもらえるよう工夫されていました。
こうした啓発活動は、日本だととてもまじめな雰囲気で行われる印象ですが、鑑賞中の住民の皆さんは終始大盛り上がり!大笑いしたり(日本人には笑いのツボが分からないシーンも多々。笑)冷やかしたりと本当に楽しげな雰囲気で行われました。
建設にあたって工夫した点は?
診療所の建設にあたっては、保健局、病院、地域住民の皆さんと協力して様々な工夫をしています。

左右の壁面に描かれた「結核に関するスローガン」は、現地の保健局、病院、地域住民の皆さんで決めていただきました。上の写真に写っている面には「Yes! We can end TB!(私たちは結核を終わらせることができる)」というスローガンが入っています。
また、ムワチソポラ病院では今も頻繁に停電がおこっており、以前から設置していたソーラーパネル付きのポータブルバッテリーだけでは、X線装置の充電が不足するということが課題でした。データ入力やX線画像確認のノートパソコンだけでなく、X線装置が結核診療所で充電できるようにするために、追加でソーラーパネルも設置しました。

結核についての啓発活動を行えるようにするため、ロシナンテスと保健省が協力して作成したポスターも外のベンチ近くの壁に掲出しています。

今後ムワチソポラ地域の結核対策は大きく前進することが期待されます。今後ザンビア全体の結核対策のモデルケースとして広げていけるよう、引き続き尽力していきます!
