他者のためにできることを―入職のご挨拶【宮川崇】
初めまして。ザンビア事業部ディレクターとして2025年12月にルサカに着任した宮川崇と申します。
私はこれまでに、日本語教師や学校教員を経た後、UAE、タジキスタン、バングラデシュ、モルディブ等での国際協力事業に携わってきました。外務省医務官を辞してスーダンの人々の中に飛び込んでいった川原代表の熱い想いや行動力に、また「援助は施すものではなく共に歩むもの」というロシナンテスの理念に共感し、そのチームの一員に加われたことを嬉しく思っています。

他者のためにできること
私は高校時代、NZに留学した縁で、帰国後、フィリピンからの留学生を我が家で預かりました。毎日懸命に日本語を学び、学校に通う彼に留学先として日本を選んだ理由を尋ねたことがありました。
フィリピンから日本に出稼ぎに来る人たちが多かった当時、”日本語を学んで将来は日本で就職したい…”、そんな答えを失礼ながら想像していた私に、彼は「今のフィリピンは貧富の差も大きく、教育を受けられない子ども達が道端に溢れている。治安も悪く、政治は汚職ばかり。でも、僕はそんな母国を良くしたい。フィリピンを幸せな国にしたい。日本から多くを学び、母国で活かしたい。僕たち若い世代がこれからのフィリピンを作っていくんだ。」と真っ直ぐな目で語ってくれました。
大学受験を目前に控え、自分がどう生きるかだけ考えていた当時の私は、他者や母国のために生きようとしている彼の想いを知り、自分のそれまでの視野と世界の狭さを痛感しました。これを機に、私自身が世界各地を訪れるようになり、「他者のためにできること、日本のためにできること」について考えるようになりました。
全てあるけど何かが足りない日本
アジア、中東、南米をはじめとする貧困や開発課題を抱える多くの国々を訪れる中で、様々なカルチャーショックや葛藤と同時に多くの素敵な出会いと学びに恵まれてきました。貧しい農村の人々は、日々の一食にすら事欠く中、訪問者である私に自分たちのご飯を笑顔で分け与え、あたたかくもてなしてくれました。何か自分にできることはないかと訪れたスラムで、逆に自分が多くの笑顔に囲まれて学びを得る、そんな経験を何度も繰り返す中で、先進国と呼ばれる日本は果たして本当に豊かで幸せな国なのだろうかと考えることが増えました。
また、国際協力事業に携わる中で、目の前の困っている人々に寄り添い、必要な支援を直接提供していくことは急務かつ重要である一方、長期的な視点から、その国の貧困や発展を阻害する社会的な歪み、制度、構造を改善できる若き国のリーダーを育成することが、自立的かつ持続的に課題を解決するためには必要、それが教育の重要な使命と考えるようになりました。
新たな挑戦
人生には遠まわりや寄り道の中でしか見られない素敵な景色や出会いがたくさんあると感じています。
私はこれまで教育分野や国際協力分野で未知の環境へと足を踏み入れる度に、その楽しさだけではなく、新たに一から学び、関係を築いていくことの困難さも経験してきました。しかし、新たなご縁を通じてそこに居場所ができた時、「あの時思い切って踏み出したからこそ、この素晴らしい出会いがあり、貴重な経験ができた」と気づきます。
人生設計としては不安定な、そんな私の挑戦をいつも一緒に楽しみ、支えてくれる家族には感謝しています。ロシナンテスでの新たな出会いとご縁を大切に、皆様からの支援がスーダンやザンビアをはじめ、日本を含む世界各地へと繋がり、平和な世界の発展に少しでも貢献できるようロシナンテスを通じて精一杯取り組んでまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
