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コラム2023.03.14

イスラム恐怖症と闘う国際デー

3月15日は国連が「イスラム恐怖症と戦う国際デー」として定めた日です。

イスラム恐怖症とは、イスラム教徒に対する理不尽な恐怖や嫌悪、偏見をいいます*1。

イスラム恐怖症と戦う国際デーを制定するに至った背景として、「イスラム教である」という理由だけで引き起こされている差別や暴力事件の増加があります*2。実際、イギリスのイスラム教徒1,503人を対象に行われたアンケートでは、約7割もの回答者が「職場で何らかのイスラム恐怖症のターゲットにされたことがある」と回答しました*3。

イスラム恐怖症は身近なところに存在しています。例えば、ロシナンテスの理事長である川原はスーダンの男性の伝統衣装であるジャラビーヤを着て日本の空港に降り立った際、職務質問をされました。スーツを着ていた時は一度もされたことがなかったのに、イスラム教徒が着るとされている服を着用しただけでなぜ声をかけられなければならなかったのでしょうか。

ジャラビーヤを着ている川原

海外では、イスラム恐怖症による嫌がらせによって仕事を辞めざるを得なかった女性もいます。女性は「ヒジャーブ(イスラム教徒の女性が頭にかぶるスカーフ)をつけているだけでテロリストや爆弾、独裁者と結びつけて考えられるのは辛い。」と語っています*3。

イスラム恐怖症が引き起こされる最大の要因として、一部のイスラム教徒の過激なテロリストたちの存在が考えられています*4。しかし、一部の人間の影響で無関係な大多数のイスラム教徒が差別されるのはあってはならないことです。

そこで、これを読んでくださっている皆さんにイスラム教についてより理解を深めていただけるよう、イスラム教徒の素敵なところをご紹介します。

例えばイスラム教には「喜捨」(ザカート)と呼ばれる崇拝行為があります。イスラーム法により財産に余裕がある人は収入の2.5%を神にお返しすることになっており、集まったお金は貧困者や公共施設の建設などに使われます*5。裕福な人は富を独り占めしたり優越感を抱くのではなく、むしろザカートを受け取る相手がいることに感謝します。死後の運命は現世での地位ではなく神への帰依によって決まるとされているため、ザカートは施す側にとっても重要な崇拝行為なのです。このように、ザカートによって富の均衡を図ることができます*6

さらに、イスラム教にはラマダンがあります。「ラマダン」とは「断食月」という意味で、一か月間日の出から日没まで一切飲食をしません。そして日没後は深夜まで町が賑わい、飲食します。スーダンでは午後7時半より飲食が解禁されます*7。イスラム教徒はラマダンで信仰心を清め、欲望を抑え、より良い自分を目指しています*8。

最後に、スーダンの女性たちはイスラム教の服装の決まりを守りながら、おしゃれを楽しんでいます。女性は外出時、「トーブ」と呼ばれる布を身体に巻きます。トーブには色々なデザインがあり、色や刺繍も様々です。

画像の通り、とても色鮮やかで綺麗ですね。下に着ている服との色のバランスなども考えていたりもするそうです。おしゃれを楽しもうとする気持ちはみんな一緒ですね。

いかかでしたか?ほんの一部ではありますが、イスラム教とならではの素敵なところのご紹介でした。

みなさんは、イスラム教徒に対してどのようなイメージを持っているでしょうか。

今日を機に、自分や周りの人たちが特定の宗教に対する理不尽な偏見を持っていないか考えてみませんか。

参考文献

*1「Islamophobia」 (Cambridge dictionary)
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/islamophobia
*2「国連は3月15日をイスラム恐怖症に対する日として宣言」 (infobae)
https://www.infobae.com/jp/2022/03/15/un-declares-march-15-as-day-against-islamophobia/
*3「Islamophobia: Muslims describe abuse suffered at work」 (BBC)
https://www.bbc.com/news/uk-england-london-61974430
*4 「What is Islamophobia?」 (BBC) 
https://www.bbc.co.uk/newsround/40324678
*5「ささっとわかる! イスラーム -文化から経済・お金まで-」(ザッツ・京大)
https://www.thats.pr.kyoto-u.ac.jp/2019/05/30/6851/
*6「ザカート・喜捨」(Islamic Library
http://islamjp.com/library/icjzakat.htm
*7「愛を再確認するための儀式、ラマダン(断食月)」https://www.rocinantes.org/blog/life_and_culture/1741/
*8「イスラム教の文化:ラマダンを知っていますか?」(在モロッコ日本国大使館)https://www.jccme.or.jp/11/pdf/2019-09/know-1906.pdf