特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

ロシナンテスからの活動情報をご案内します。

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川原ブログ2019.11.18

東北復興支援事業のその後

2016年春に、5年間にわたって復興支援活動をした東北事務所を閉める決断をしました。それから3年半後の秋の初めに、改めて東北を訪問しました。

 

宮城・閖上で活動報告会

スーダンの政変の状況、今年事務所を開設したザンビアのことなどを直接お伝えする活動報告会を全国数か所で行うと決めたとき、宮城県での開催は外せないと思っていました。現在のロシナンテスの活動をご報告するとともに、地元の人々に引き渡した東北事業が現在どのようになっているのか、視察することを決めて宮城県に入りました。

報告会の場所は閖上にある集会所と伺っていたのですが、全くどこにあるのか見当がつきません。もう私が知っている震災直後の何もない閖上ではなく、目覚ましい復興を遂げ、新しい街の閖上が誕生していました。

活動報告会では、当時お世話になった方々がたくさん集まり、明るい話題を伺うことができました。小中一貫校となった閖上小中学校は入学する児童数が増えたそうです。かわまちてらす閖上という商業施設が名取川沿いにできていて、ショッピング、食事、そして散歩するのにとても良い場所になっています。藤フラワーさんから綺麗なお花が届けられており、その花に彩られるように皆様はとても明るい表情でした。

ロシナンテス東北のスタッフで寺子屋亘理の先生をしていた綾田さんは、仙台市に採用されて小学校の教諭をしています。報告会にも元気な姿を見せにきてくれました。

がれき撤去作業の仲間を訪問

報告会後、岩沼市玉浦に移動し、いまや地域のリーダーとなっている谷地沼さんたちと一緒に夕食を頂きました。震災直後、玉浦の方達と一緒に瓦礫撤去を行ったのですが、そのときに大活躍してくれたのが谷地沼さんでした。京都の友人のつながりで八王子の造園の方々が駆けつけてくれ、重機を持ち込んで一気に作業が進んだのですが、玉浦の自治会長さんが、この作業に関して多額の請求書が来るのではと戦々恐々としていたことは今では笑い話となっています。

玉浦小学校のPTA会長も務める富勝さんの提案で、同小学校で年間15回も避難訓練を行っているとのお話も伺いました。登校時、授業中、給食時、休み時間、下校時、いつ災害が起きるのかわかりません。そのために予告せずに抜き打ちで避難訓練をするそうです。下校時の抜き打ち避難訓練の様子を動画で見せてもらいましたが、その場にいる上級生が下級生をまとめて輪を作り、ランドセルを頭に抱えています。みんな落ち着き払っていて、このような訓練の積み重ねがいざという時に役に立つのだろうと感銘を受けました。教訓が生かされています。玉浦小のみでなく、全国に抜き打ち避難訓練は広がれば良いと思います。

 

健康農業事業のその後

翌日、亘理町にある「わたりグリーンプロジェクト」の事務所を訪問しました。当時からお世話になっていた嘉藤さん、三戸部さんたちに迎えられました。雨のために農作業は中止になっていましたが、我々が亘理町の高齢者の方々を対象として行っていた「健康農業」事業を引き継いで現在も続けて下さっています。参加者を送迎するための車両、それに作業用の軽トラ(風に立つライオン基金から寄贈されました)がありました。

海岸沿いの植林も続けていて、我々も松のタネをもらいました。自分たちで苗まで育てて、亘理に持って行って植樹できるとのことで意気込んで育てていたのですが、残念ながら苗まで生育させることはできませんでした。また次回挑戦したいです。

また驚いたことに、当時ロシナンテスが清掃作業をした家の家主であるという方がスタッフとして働いていました。今では住めるようになっていると嬉しそうに話してくれました。これもご縁ですね。ロシナンテス東北のスタッフそして全国から参加してくれたボランティアさんに改めて感謝します。

 

寺子屋事業のその後

学習支援事業である寺子屋閖上の塾長であった工藤さんが経営している工藤塾も訪問しました。いつも子供達に丁寧に勉強を教えていましたので、工藤先生を慕う生徒さんは多いことでしょう。工藤さんの四人のお子様の近況を伺い、みんな元気にしているとのことです。子供達の成長は早いですね。

うちの末娘が東北に来た時に友達になった女の子も元気にしていました。震災時は小学校5年生で今年は大学受験です。「医学部を目指しています!」と目を輝かせていました。

東北を去る直前に、工藤さんとともに「かわまちてらす閖上」に行き名取川を眺めました。午前中は台風で豪風雨だったのですが、晴れ間が見え、虹がかかっていました。閖上に東北に明るい未来が広がっているように思えました。

あの震災から復興していく人々や街の様子を見ているとこちらまで勇気をもらいます。

20年来の内戦、南スーダンの分離独立、そして今年のクーデターで大統領退陣があったスーダンですが、東北のように復興をしていかねばなりません。ロシナンテスは小さくとも復興の一助になりたいと改めて心に決めました。そして東北とのご縁も今後も大事にし続けていこうと思います。今回の訪問でお世話になった方々、本当にありがとうございました。

最後に、ロシナンテス東北の初代瓦礫撤去隊長であった、八王子で造園業を営んでおられる龍崎浩二さんがお亡くなりになられました。造園に関してのイベントに出展していた宮城県で、富勝さんと食事をしている最中に身体の変調を訴え、そのまま帰らぬ人となりました。ご自身で経営されていた造園業を長期間お休みしてまで瓦礫撤去作業に従事してくれ、スーダンと南スーダンの子供達を東北に招いて行った運動会では元気に走ってもくれました。はにかみながら微笑む龍ちゃんの姿が私の目に焼き付いています。心よりご冥福をお祈りいたします。