特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

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現地の文化生活2021.08.23

候補者の顔を身にまとい、オリジナルの応援ソングを流す…日本とは大きく違うザンビアの選挙

2021年8月12日に、ロシナンテスの事業国であるアフリカ・ザンビアで5年に一度の大統領選挙を含む総選挙が行われました。

ザンビアでは18歳以上が有権者とされており、そのうち事前に登録を済ませた国民のみが投票権を得られる仕組みになっています。実際に投票したのは約700万人中500万人程、有権者の約70%と、日本の多くの選挙に比べると高い投票率となりました。

各政党のグッズを身につけて応援、アーティストによる応援ソングも

前回よりも投票率は上がっていることから、今回の大統領選挙への国民の注目の高さが伺えました。あくまで個人的な感覚ですが、7月から8月にかけては、20代の若者から高齢者まで、どの世代の会話の中にも各政党の政策や方針等の選挙の話題が頻繁に出ていたように感じます。若い世代でもこれだけ選挙に関心があるというのは、自分たちの国をより良い国にしていきたいという思いの表れなのではないでしょうか。

選挙期間は、街中に各候補者や政党のポスターが貼られ、国中が選挙ムード一色になっていました。日本と異なるのは、国民に対して各政党のTシャツや帽子などのグッズを配ることができるという点で、有権者たちはそれらを身に着けて政党の支持を表明します。街頭演説等の際には、各政党を象徴する色を身に着けた人々でいっぱいになります。候補者の顔がプリントされた布を腰巻(スカート)として身につけている女性なども見かけました。また陽気な気質を表すように、選挙カーからは国内の有名なアーティストが政党のために製作した音楽を流しながら広報活動を行います。

今回特に印象的だったのは、有力候補者たちがSNSを積極的に用いて選挙運動を行っていたことです。昔ながらの選挙運動だけではなく、幅広い世代に届けようとする様子が見てとれました。

16人の立候補者の中から、野党のハカインデ・ヒチレマ氏が当選

今回の大統領選挙では16人の立候補者がいましたが、選挙前から現地メディアでは、2期目を目指す現職のエドガー・ルング氏と野党第一党の実業家ハカインデ・ヒチレマ氏との一騎打ちになるだろうと報道されていました。

結果は、予想を上回るおよそ100万票の差をつけて、野党のハカインデ・ヒチレマ氏の勝利となりました。

投票日から3日後の16日の未明に最終開票結果が発表されましたが、国民は結果が出るまでの間もテレビやSNSで報じられる情報をこまめにチェックしていて、ここからも選挙への関心の高さが感じ取れました。ロシナンテス職員のザンビア人の友人の中には、選挙結果を速報で見るために夜中まで起きていて、寝不足で仕事へ行った人もいたそうです。

アフリカ各国の選挙では、しばしば選挙後に不正があった等ということを理由に、開票結果に納得しない候補者や政党からの意義申し立てがあり、選挙のやり直しや暴動が起こることがあります。しかし今回の大統領選挙では大きなトラブルもなく、円滑に政権交代がなされました。ロシナンテスとしても、今回の選挙前後の治安の悪化を心配していたため、従来に比べるとおおむね平和に選挙が終わったことを嬉しく思います。

ちなみに選挙の当日、その翌日、そして大統領の就任日(明日8月24日)は休日となりました。こんなところも日本とはちょっと違う点ですね。

現在、ザンビアは経済不況に見舞われており、2年前に比べると倍近いクワチャ(ザンビアの通貨)安となっています。そのため、輸入品の価格上昇が続き、国民の生活は苦しい状況が数年の間続いていました。新政権では所得税減税や公教育の無償化、輸出時の課税強化等、国民生活重視の政策が唱えられています。少しでもザンビア国民の生活が豊かになり、更に生活水準が向上していくことを願っています。

▼9/8の活動報告会では、こうしたザンビアの今についてもお伝えします。

https://www.rocinantes.org/news/event/?no=122