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現地の文化生活2022.11.21

続く政治危機…スーダンの今

2021年10月25日早朝、スーダンで軍によるクーデターがありました。それから1年、スーダン国内では引き続き民主化を求めるデモが頻発していますが、軍政のままでもよいのでは、と考える人々も増えてきており、国民の意見も割れています。

民主化への歩みを止めた軍によるクーデター

スーダンでは2019年、長年の独裁体制を敷いていたバシール政権が崩壊。その後文民と軍の合意に基づいた統治評議会によって民主化に向けた共同統治が行われていました。その合意では、暫定期間の前半は軍人がトップとなり、後半は文民がトップを務め、その後2023年に選挙をして正式な政府を樹立となる予定でした。

2021年10月に暫定期間の前半が終わり、11月から国家元首は文民に移されることになっていました。しかし、その移管を前に、文民である首相のハムドク氏を始め複数の大臣が拘束され、軍が一方的に暫定政権の解散、軍主導の統治評議会の発足を宣言しました。

●クーデター当日の様子はこちら

それを受け民主化勢力は、一方的な措置で受け入れられないと表明し、大規模なデモを繰り返してきました。国際社会からもクーデターに対して非難の声があがり、世界銀行やアメリカによる支援凍結や、アフリカ連合によるスーダンの参加停止が発表されました。

再びハムドク氏が首相に復帰するものの…

クーデターからおよそ1か月後の2021年11月21日、軍トップのブルハン氏とハムドク氏は合意文書を交わしました。内容は、拘束している政治家ら全員を解放することと、ハムドク氏を再び首相とし、文民による新たな内閣を発足させ、2023年7月までに総選挙を実施するとされています。国連や欧米諸国はこの合意を歓迎すると発表しました。

しかし、今まで市民を牽引し、2年前に首相にハムドク氏を指名した民主化勢力は、軍との合意を受け入れられないと表明しました。また、クーデター前に大臣を務めていた閣僚12名が軍との合意に反対し、辞任を申し出ました。「流血の事態を止めるため」に復職に合意したと話すハムドク氏ですが、軍への妥協だとの批判にさらされる形となりました。

●ハムドク氏復帰直後の様子はこちら

ハムドク氏が辞任、トップ不在の状態に…

その後もハムドク氏は民主化勢力からの支持を得ることができないまま、2022年1月に、政治的混乱を収めることができなかったという理由で首相を辞任しました。軍側のトップであるブルハン氏は、速やかに新たな首相を任命する必要があると述べたものの、民主化勢力と軍との間で妥協点を見いだすことができず、そこから2022年12月現在に至るまで首相不在の状態が続いています。

軍によるクーデターから1年を機に、何らかの動きがあるのではと期待されていましたが、リーダーシップを取れる人が出てこないという課題を抱えたまま膠着状態が続いています。引き続き民主化を求める勢力がいる一方で、混沌が長く続くことから、民主化はもう難しいのでは、バシール政権下(軍事政権)のほうが経済状況はよかったのでは、という声も増えてきており、国民の意見も大きく割れています。

ブルハン氏は、将来的に文民による新たな暫定政権が成立した後に、軍主導の統治評議会を解散し、新たに軍高等評議会を設置することを約束しています。政治面は暫定政府が担い、安全保障と防衛については軍高等評議会が担うことになるとみられていますが、時期や手法については曖昧な点が多いことから、この約束にも懐疑的な見方が多く、今後もスーダンの政治危機はしばらく続きそうです。

あきらめていない優秀な若者たちが希望

混乱の最中にあるスーダンですが、淡い光の見える場面もあります。例えば、民主化を求めるデモが始まってから4年が経ちましたが、現在も”平和的な形で”デモが継続され続けていること。国民の意見が割れてきているといえど、この長い期間に、多くの人々が参加するデモを継続し続けているスーダン国民の不断の努力は本当に素晴らしいものです。

またスーダンの経済は究極に落ち込んでいる状態にありますが、そんな中でもスタートアップとしてビジネスに挑戦する若者たちが首都には集っています。またこうした若者の多くは民主化をあきらめておらず、多方面で活躍を見せています。優秀な若者たちがまだ国内に残っているということは、大きな希望になります。

スーダンの人々があきらめない限り、私たちも寄り添い続けていきたいと思います。