特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

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母子保健2020.01.28

診療所に向かう途中で出産も。ザンビアで母子保健の現状を調査

皆さまこんにちは!ザンビア事業部インターンの池田です。

11月末から 12月中旬にかけて、中央州チサンバ郡ムワプラ診療所の担当エリアにて、現状把握のための妊産婦さん、経産婦さんへのベースライン調査を行いました。

アフリカ・ザンビアでは現在、医療施設での出産が義務化されており、この地域に住む妊婦さん達は、ムワプラ診療所で出産することが想定されています。しかし、ムワプラ診療所の担当エリアは、6つの地域が含まれておりとても広大です。村の人々の移動手段が主に徒歩であることもあり、多くの妊婦さん達は陣痛が始まってから診療所に向かっても、出産に間に合いません。その結果、家で出産したり、診療所に向かう途中で出産したりするケースが多くみられます。医療施設以外での出産はリスクが大きく、母子ともに危険な状態にさらされます。

ロシナンテス・ザンビア事業部では、この問題を解決するために、ムワプラ診療所の側にマタニティシェルターを建設することを計画しています。マタニティシェルターとは、出産予定日を間近に控えた妊婦さんたちが滞在することのできる施設です。陣痛が起こるよりも前、例えば出産予定日の1週間前に家からマタニティシェルターにやって来て滞在することで、確実に診療所にて出産することができるようになります。

また各地域には、SMAG(Safe Motherhood Action Group)という、政府に認定された、母子保健に特化したボランティアがいます。彼らの主な役割としては、出産を控えた妊婦さんを医療施設に連れて行くこと、妊婦さんとコミュニケーションを図りながら医療リテラシーの向上を狙うこと等があります。ロシナンテスでは、マタニティシェルターの建設とともに、このSMAGの育成も併せて行います。施設での安全な出産を増やし、妊婦さんの知識向上で妊娠に伴う様々なリスクを削減することを目指します。

以上のプロジェクトを実施するに際し、ベースライン調査では、現状のより詳細な把握のため、妊産婦と経産婦に対してインタビューを行いました。

前半では、村の人々の家を訪問しました。村の家は何棟かの建物に分かれています。寝室、調理スペース、鶏小屋、鶏の産卵場、牛舎などです。農業従事者が多く、子供達も農作業を手伝っていました。一般的に農村部では、労働力として子供が必要となるので、都市部に比べて出生率もとても高いです。

村の家の様子:寝床、調理場、家畜小屋が並んでいます。

 

また後半では、毎月ムワプラ診療所の看護師さんと各地域のヘルスボランティアにより各地域で実施される、巡回診療の場にてインタビューを行いました。デリケートな質問も多く含まれるため、ザンビア人の女性スタッフが中心となって行いました。

巡回診療では主に、成長モニタリング、予防接種、マラリア・HIVの検査、家族計画、ヘルストーク、妊婦検診、産後ケアが実施されています。村の人々は遠いところだと、徒歩で往復6時間以上かけて診療を受けに来ます。

農作業が特に忙しい今の季節に、大きな労力をかけて来ていることからも、村の人々にとってこの巡回診療がいかに重要なものかが分かります。お洒落をして来る女性も多く、コミュニティにおける社交場ともなっているようです。揚げパンや小魚などを売りにくる人もいました。

今回のベースライン調査で得た情報を分析し、今後の事業の方向性を熟考したいと思います。

左/右:村のボランティア、中:ロシナンテスの現地スタッフ