特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

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母子保健2023.11.30

スマホアプリを活用して母子の健康を守る!産官学NGO連携でプロジェクト開始

7月より、総務省の「ICT海外展開パッケージ支援事業の地方枠」助成事業として新規プロジェクトを開始しました。これは、スマートフォンアプリを用いたデジタル産科健診パッケージを医療施設に導入し、その有効性を実証していくプロジェクトです。

スマホで医療データを一元管理し、診断の質を向上

SPAQは、医療情報管理(電子カルテ)の機能をもつスマホアプリです。従来は、小型エコーなどの様々な検査データは独立して管理されていましたが、これらがSPAQのプラットフォームに統合されることで、医療データを一元的に管理することができ、総合的な情報分析が可能になります。また、既往歴や血圧等の一般的な医療情報と一括して分析されるため、医療従事者はより包括的に患者の健康状態を把握することができます。アプリの異常アラート機能も参考にして、病状の早期発見やより適切な医療アドバイスを提供できるようになることを目指します。

このプロジェクトではロシナンテスを含めた5つの日本の組織が参画し、産官学NGO連携の体制を実現しています。株式会社SOIKが事業を総括し、ロシナンテスは現地調査とモニタリング、九州大学が医療分析と評価、株式会社Bioseedsが水質調査と分析、そしてヘルスアンドテック合同会社がデジタルシステムの開発と運営を担当しています。

九州大学、SOIK、ロシナンテスによる対象施設の視察

7月中旬に事業地選択調査を行い、9月初旬には中央州チサンバ郡のリテタ郡病院、リテタヘルスセンター、マロンべヘルスセンター、チペンビヘルスセンターの4つの医療施設の医療従事者とヘルスボランティア(SMAG)を対象に、研修を実施しました。参加者はSPAQを用いたデジタル産前・産後健診の手法、超音波画像検査(エコー)分析・入力方法などを学びました。

川原による研修開催のあいさつ

村落部でもハイリスクな妊婦に迅速に対応するために

今回の対象地域であるチサンバ郡では、医療施設から離れた地域に住むハイリスクの妊婦さんへの医療提供が大きな課題となっています。SPAQの導入により、医療施設間のコミュニケーションが円滑になり、子宮外妊娠や前置胎盤・癒着胎盤、多胎といったケースの早期特定、さらにはより設備の整った病院へのスムーズな連絡が実施できることを目指しています。

当プロジェクトは2024年1月までの実証事業となり、プロジェクト終了後にこの分析結果をもとにザンビア政府や援助機関と協議を行い、SPAQパッケージの導入地域を拡大するための道筋を策定する予定です。