特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

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2022.03.18

水の汚染と水量不足の改善を目指して―スーダン活動報告会レポート

2022年2月17日、スーダン活動報告会がオンラインにて開催されました。現在取り組んでいる水事業を中心に、学校事業や新型コロナの対策支援事業についてもご説明しました。

「水たまり」を「給水設備」にするために

水が貴重なスーダンでは、雨季の6月~9月に降る貴重な雨水を貯水し、残りの乾季に飲料水、生活用水として活用するハフィール(ため池)が大切な役割を果たしています。
しかしきちんと整備のされていないハフィールは、大きな水溜まりのようなものです。動物の侵入を防ぐフェンスがないために、住民に加えて牛、ロバ、ラクダ、ヤギ、羊などの家畜の日常的な水飲み場となり、動物の排泄などで水が汚染されます。また、水を浄化するフィルターなどが設置されていない場合、人々は汚染された水を飲むことになります。見るからに濁度が高く、かつ異臭を放っている水であっても、他に水を確保するすべがないのです。

ハフィールで水を汲む女性

スーダンの水の課題については、下記動画もご覧ください。
https://youtu.be/yCTp4iGdzxg
・世界で安全な水を利用できない人はどれくらい?
・スーダンの気候と降水量
・スーダンの水事情、村落部と都市部の違い
・ハフィールとは?

こうした状況を改善するために実施しているハフィール改修事業の概要と進捗についてご説明しました。

参加者の皆さまとの質疑応答

ご参加いただいた皆さまからは積極的にご質問もいただきました。下記は、皆さまとの質疑応答の一例です。

Q.給水設備は現地に引き渡すとのことですが、機械設備・電気設備と維持には技術がいるものと想像します。大きなトラブルなく運営はされていますでしょうか。また、何かトラブルが起きたら適宜サポートをされるのでしょうか。
給水設備、特に取水部分の故障や不具合はどうしても起こってしまうため、水管理委員会がきちんと管理をし、水代を徴収して修理代などを捻出していくようにする予定です。修理や部品の交換などもスーダン国内で完結できるよう配慮をして建設をすることで、問題が起きても水管理委員会で対処可能な状態にすることを目指しています。これまで建設した給水設備に関しても、こうした形での運用で今のところ大きな問題は起きていません。

Q.ハフィールに溜まった雨水が蒸発したり地下に浸透する前に貯水槽に貯水したりする様な取り組みもあるんでしょうか?
浄水した状態の水を貯めるタンクは設置予定ですが、雨水の状態で貯水するタンクの設置は予定していません。今回の改修では、面積を小さめに深く掘削するエリアを新設することによって、雨水の蒸発を減らし、年間を通して十分な水量が確保できる形を目指しています。

Q.飲料用水を確保するためにハフィールを活用する一方で、村落における洗濯や入浴用の水もハフィールの水を使うのでしょうか?
この地域では、給水車の水を買う以外ではハフィールの水が唯一の水源となりますので、飲用や調理から洗濯・入浴までハフィールの水が活用されています。

Q.水をなるべく使わず済ませる現地ならではの工夫がありますか?
工夫、ということではありませんが、その地域でどの程度水が手に入りやすいかによって、住民の皆さんの洗濯頻度が大きく変わります。これは、村を訪問し人と会うことで、その地域で水が十分使えているのかどうかが分かるくらいには大きな影響があります。

クーデターに300%を超えるインフレ…スーダンの生活は今

事業のご報告の他、現在のスーダンの状況についてもご共有しました。報告会前日の2/16、燃料価格の値上げが発表されました。2021年の1年間ですでに5回以上の値上げが行われ、2020年2月と比べておよそ95倍の値段となってしまいました。リッター100円だった燃料がリッター約1万円になる、と考えると、いかに苦しい状況であるか、お分かりいただけるかなと思います。

燃料が高騰するにつれ、もちろんバスなどの公共交通機関も値上がりしています。燃料不足により、ガソリンスタンドで2-3日夜通し並んでも給油できないような状況です。こうなると、ブラックマーケット、闇市場で購入する他ありません。また、首都ではプロパンガスで調理する人も多いですが、燃料不足により調理ガスも入手困難になることが度々あります。
加えて、長時間の停電と断水と、何重にもわたる苦難の中生活しているという状況です。

スーダンポンド/米ドルレート

また、10月に民主化に向けた暫定政権をひっくり返すクーデターが勃発して以来、政治情勢も混迷を極めています。クーデターについてはこちらをご一読いただければと思いますが、首相不在のまますでに1か月以上が経過しています。

2021/10/25 スーダン国軍がクーデター、政権掌握
2021/11/21 軍側と民政側が合意、民政側首相復職
2022/01/02 民政側首相が辞任
2022/01/20 軍側が新大臣を任命(首相は空席)

これ以上事態が悪化しないこと、少しでも状況が良くなることを祈るばかりです。

報告会にご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。次回は4/20に、学校事業について詳しくお伝えする報告会を開催します。ぜひご参加ください!
https://www.rocinantes.org/news/event/?no=129