特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

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スーダンの村が「街」になった— ロシナンテスとあなたで創った20年 —

ロシナンテスは2026年に設立20周年を迎えました。

最初の事業地は、スーダン・ガダーレフ州シェリフ・ハサバッラ村です。医療を届けることから始まった歩みは、水・教育・栄養へと広がり、やがて村そのものを変えていきました。今、ハサバッラ村はかつての「村」から「街」と呼べる姿へと発展しています。この変化は、皆さまのご支援なくしては生まれませんでした。

診療所はあっても使われていない村

当初、ハサバッラ村には診療所と呼ばれる建物はありましたが、設備も薬もなく医療スタッフもいない状態で、診療所は名前だけの存在でした。多くの住民は動物の排泄物などで汚染された川の水を生活用水として使用しており、慢性的な下痢や感染症が後を絶ちませんでした。解決すべき問題は、医療だけではなかったのです。

ハサバッラ村での巡回診療 撮影/内藤順司

ロシナンテスはおよそ6年間にわたり、村長や住民たちと話し合いを重ねながら、医療だけにとどまらない包括的な支援を行いました。

「病気そのものではなく、病気が生まれる背景を変える」

——それがロシナンテスの取り組みでした。

遠回り 第35号 — 認定NPO法人ロシナンテス

ハサバッラ村での歩み

2007年〜 巡回診療の開始
必要な医療機材を整え、医療スタッフを配置して巡回診療を開始。日本から中古の救急車も寄贈。
2008年〜 助産師による妊婦健診・栄養指導
診療所に助産師を配置し、定期的な妊産婦健診を実施。2010年からは妊産婦や母親への栄養指導も開始。
2009年 給水所の整備
安全な水を確保するため、井戸を改修。村の人々と共に給水所を整備。
2009年 女子小学校の建設
男の子の学校しかなかったため、将来医療人材が育つようにと女子小学校を建設。
2012年 突然の活動停止命令と撤退
スーダン政府より、ロシナンテスを含む外国のNGOへの活動停止命令が発令。当時、スーダンは国際関係が緊張状態にあり、その影響だった。1年間の猶予期間中に村の人々だけで運営できる体制を整える「出口戦略」を進め、翌年ハサバッラ村から撤退。

10年後の再訪(2022年)—— 村は歩みを止めていなかった

2022年にハサバッラ村を再訪することができました。嬉しいことに、診療所も、給水所も、女子小学校も、すべてが稼働していたのです。救急車や給水所が故障したこともあったそうですが、村の人々は有料で運営していた診療所や給水システムのおかげでお金を管理していて、修理費を工面し運営を続けていました。

さらに、村から大学へ進学する若者が現れました。女子小学校を卒業し看護を学ぶために大学へ進んだ少女、そして医学部へ進学し医師を目指す若者も生まれています。かつてこの村ではほとんどの大人が読み書きできませんでしたが、ロシナンテスと共に歩むうちに学ぶことの大切さを知り、自分の子どもたちには高等教育を受けさせていたのです。

10年以上たっても機能していた給水所

2026年現在——ムザンメル君との再会

2026年4月、かつて活動の中で特に気がかりだったムザンメル君と再会することができました。

2歳の頃のムザンメル君  撮影/内藤順司

当時2歳だったムザンメル君は、重度の栄養失調で、歩くこともつかまり立ちすらできませんでした。しかしロシナンテスのサポートのもと、継続的に栄養のある食事を摂り続けることで、少しずつ状態は改善していきました。現在は川を挟んだ別の地域に暮らしていますが、ハサバッラ村にロシナンテスが来ると聞き、船と徒歩で時間をかけて会いに来てくれました。

彼は16歳の少年になり、学校にも通っていると元気な笑顔を見せてくれました。お母さんは「あの支援がなければ、この子たちは生きられなかったかもしれない」と繰り返し感謝の言葉を伝えてくれました。

ムザンメル君(左)、双子のマ-ゼン君(右)、二人のお母さん(中央)

ハサバッラ村の風景はこの20年で大きく変わりました。家々の外壁は木の柵からトタンに替わり、村の中心にはモスクができ、人々の生活の拠り所となっています。村長の家では、農業に重機が導入されたそうです。

給水所は現在ソーラーパネルによって水をくみ上げており、安定して水が供給されています。学校は一時避難所でしたが、現在は避難民の帰還が進み、5月から再開できることになったそうです。

20年の感謝をこめて

ロシナンテスは20年にわたり、「医」を取り巻く環境を包括的に整える支援を続けてきました。私たちの支援は、きっかけに過ぎません。人々が自分たちの力で地域を発展させていくこと。これこそが目指してきた形です。

しかし2023年4月、スーダンで軍事衝突が勃発しました。困難な状況ですが、私たちは歩みを止めません。救急車の寄贈やデジタルヘルスによる母子保健事業など、今できる支援を続けていきたいと思います。

ハサバッラ村の変化は、皆さまと共に創った20年の証です。ご支援いただきました皆さまに心から感謝申し上げます。そしてこれからも、共に歩んでいただけましたら幸いです。