インスタントカメラが課題解決の鍵になるか!?妊婦健診の普及を目指した試行錯誤
2025年はじめ、私たちは母子保健をとりまく現地の現状や課題を把握するため、ロシナンテスが事業を行うヘルスポスト4施設におけるデータ調査を行いました。調査から分かったことは、自宅出産の件数がマザーシェルターを建設する前と比べて大幅に減少し、支援による確かな改善が見られた、ということです。

その一方で、課題も明らかになりました。
妊婦健診の普及を阻む壁
村落部の保健施設においては、何か緊急に対応しなければならない事態が起きた際、距離が遠いことや輸送手段の問題で搬送に時間がかかり、お母さんと赤ちゃんの命にかかわる事態になりかねません。そのため、妊娠早期から定期的に健診を受診してもらうことで妊娠中の異常を早期に発見し、緊急事態そのものを発生させない体制構築が不可欠です。
- ①妊婦健診の早期開始(妊娠3か月までの開始)
- ②月に1回の定期的な妊婦健診の受診(妊娠期間を通じて8回以上の妊婦健診受診)
- ③妊娠期間を通して3回(初期・中期・後期)のエコー健診の受診
これらの3つの指標はお母さんと赤ちゃんの安全のために非常に基本的な要件になり、要件を満たして出産した妊婦さんが増えるほど、その地域全体の母子保健は安全であるといえます。けれども、その普及を阻む壁は高く、いくつものハードルが複雑に絡み合っています。

今回の調査でわかったのは、下記のようなことです。
- ①妊婦健診の開始時期が妊娠中期以降と遅延していること
- ②妊娠期間を通じた妊婦健診の受診回数が3~4回に留まっているということ
- ③エコー健診の受診率が低い
施設までの距離という物理的な問題だけでなく、健診の重要性に対する認識不足も大きな課題です。また「初期に妊娠を知られると赤ちゃんが呪い殺されてしまう」といった文化的・心理的な障壁があることもわかっています。
こうした複合的な要因を一つずつ、どのように解消していくことができるか、ロシナンテスは現場で働くメンバーとともに議論を重ね、さまざまな活動に取り組んできました 。
どうしたら妊婦健診に来たくなるのか?
私たちは2025年10月からある試みをスタートさせています。それは、3指標を満たしてマザーシェルターで出産したお母さんに、沐浴ベースンとバケツを贈呈するというものです。

この約半年の間に2つのマザーシェルターでプレゼントを受け取ったお母さんは約30名。まだまだ、出産件数に占める割合は三分の一にも満たないという現状ですが、お母さんたちの妊婦健診を受診する意欲を高め、それと同時に3指標を満たすことの重要性も、確実に地域に浸透していっていることを感じています。
プレゼントのキャンペーンに加えて、チコンコメニではインスタントカメラ「チェキ」でお母さんと赤ちゃんの記念撮影をするプロモーションも行っています。
ザンビアの人々は本当に写真が大好き!あちこちで自撮りしている姿を見かけますし、来客があれば必ず写真を一緒に撮りたがります。だからこそ、モチベーションの一つになるのではと考えています。2枚撮影し、1枚はお母さんに進呈、もう1枚は施設の壁に展示しています。

ありがたいことに、この活動はロシナンテスの結核事業で緊密な連携をいただいている富士フイルム様に、カメラとフィルムを寄贈いただくことで成り立っています。
たくさんのお母さんの笑顔の瞬間を記録するとともに、いつか施設の壁が、お母さんと赤ちゃんのたくさんの写真で埋め尽くされるーそんな希望に満ちた情景の実現に向けて、これからも地域の皆さんとともに試行錯誤を重ねていきたいと思います。

