検査のできる体制づくり―X線撮影室と検査室の改修工事が完了しました
こんにちは!ザンビア駐在員の相葉と、ザンビア事務所でインターン中の総合診療医の安藤です
2026年7月、ロシナンテス事業地のひとつであるマロンべ診療所でのX線撮影室と検査室の改修工事が完了しました。今回は改修を終えたマロンべ診療所と引渡式の様子をご紹介します。

マロンべ診療所ってどんなところ?
マロンべ診療所はロシナンテスが活動するザンビア中央州チサンバ郡の村落部にあるマロンべ地域の診療所です。首都ルサカから中央道路(Great N Road)を自動車で北上することおよそ1時間半、さらに、そこから30分ほど舗装されていない砂利道を移動したところにあります。

この診療所は、地域住民およそ16,000人の健康を支えていて、1ヶ月におよそ1,200人程の地域患者さんが足を運びます。集落が点在する広い地域をカバーしている診療所のため、引渡式の参加者の中には、当日数キロ歩いてきたと笑顔で語る患者さんも!
ロシナンテスがこの診療所で活動を始める前は、結核の診断に必要な喀痰(かくたん)検査やレントゲン検査を実施する体制が整っていませんでした。記録上、月平均38人の結核が疑われる患者さんたちを、23km離れたリテタ病院へと紹介をしなければなりませんでした。
最寄りの診療所で検査を受けることが難しい地域では、診断と治療に至るまでの時間が長くなってしまい、結果として結核の重症化や家族や周囲の人たちへの次なる感染に繋がりかねません。
チサンバ郡保健局と保健省と協力した地域の結核対策底上げ
結核の検査や診療がスムーズに受けられる体制を作るため、ロシナンテスはチサンバ郡保健局やザンビア保健省と協力して、レントゲン検査と、新たな結核検査「TB-LAMP(ティービーランプ)」との2つをマロンべ診療所で実施できるように改修工事を進めてきました。
導入を進めるポータブルX線を使ってレントゲン検査を実施するためには、国の基準を満たすようなX線撮影室に改修をしなくてはいけません。
※ちなみに、この基準はロシナンテスとザンビア保健省が協議を重ねて作成したものです。
元々開放的な窓があった室内は、X線撮影室として、真っ黒な壁に覆われX線が撮影室の外に極力漏れないように変わりました。

検査室では、TB-LAMPを配備するためのスペースや検査の基準に満たすような水回り環境の改修が必要でした。限られた検査しかできそうになかった部屋が、大工さんのお仕事により、精密な検査もできる環境にリノベーションされています。

実は、TB-LAMP はロシナンテスにとっても新たな取り組みです。TB-LAMPは、患者さんの痰に含まれる結核菌の遺伝子を調べる検査です。従来の顕微鏡検査では見つけにくかった少量の結核菌も検出でき、短時間で結果を得られるという特徴があります。

結核の診断には、WHO(世界保健機関)が推奨する「GeneXpert(ジーンエキスパート)」という検査システムもありますが、導入には一定の設備や環境が必要です。一方、TB-LAMPは比較的簡易な設備で実施できるため、マロンべ診療所のように医療資源が限られた地域での活用が期待されています。
今回のTB-LAMP導入を通じて、これまで結核の検査を受けることが難しかった人たちにも診断の機会を届けられるよう、地域の人々とともに活動を続けていきます。
ロシナンテスから地域へ、結核対策の輪を広げる
引渡式には、ロシナンテスの結核対策チーム総出でマロンべ診療所へ。チサンバ郡の結核対策に関わる関係者もたくさん集まって、地域の人たちと一緒に、今後の結核対策向上について改めて話し合いました。
ロシナンテスからはザンビア事務所代表の宮川が登壇し、地域の結核診療の向上に一緒に取り組んでいく意気込みをお伝えしました。

最終的にはこの地域がロシナンテスの手を離れて、自立して結核対策を進めることを目指しています。そんな我々のメッセージを地域の人たちはしっかりと受け止めてくださったように思います。
関係者挨拶後は、参加者全員で改修した施設の見学会を行いました。参加者が笑顔で見守るなか、チサンバ郡のケネス医師と宮川で改修後施設のテープカットは、この地域での結核対策の新たな門出となりました。

マロンべ診療所での結核対策はここからが本番
診療所での活動はここからが本番です。ポータブルX線装置による早期発見、顕微鏡検査による診断と治療経過の確認、そしてそれらを支える医療従事者の技術、地域の医療者・ボランティアさんたちの絶え間ない努力のすべてが揃って初めて、医療を必要としている人へ適切な医療を届けることにつながります。
皆さまからのご支援は、こうした医療従事者の確かな技術となり、多くの命を救う力になります。

これからも現地での活動の様子をブログでお届けしていきますので、ぜひ楽しみにしていてください。
