特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

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コラム2020.04.07

医療を支える人々

2020年3月11日、WHO(世界保健機関)は、感染症や伝染病が世界的に大流行し、非常に多くの感染者や患者が発生することを意味する「パンデミック」を宣言しました。これは既知の通り、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行によるものです。こうした状況の中、新型コロナウイルス感染症の対応の最前線におり、日本そして世界の医療を支えてくださっている医療従事者の皆さまに心から感謝いたします。

テーマは「看護師と助産師を支援」

今年はこうした困難な状況の中で、今日4月7日の「世界保健デー」を迎えることとなりました。「世界保健デー」は、1950年にWHOが定めた、世界的な健康啓発のための日です。世界保健デーのテーマは毎年変わり、その時点において世界的に重要であり課題性のある健康に関する事項に焦点を当てて、関心を高めて人々の行動を促すために設定されます。昨年は「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:誰もがどこでも保健医療を受けられる社会に」がテーマとして設定され、ロシナンテスのブログでもご紹介しました。

今年2020年のテーマは、「看護師と助産師を支援する」です。このテーマは、看護師、助産師の持つ重要な役割に焦点を当て(新型コロナウイルス感染症においても、ほかの医療従事者同様に対応の前線で闘ってくださっていますね。)、こうした役割で活躍できる人材を増やしていくために設定されました。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成のためには、さらに900万人以上の看護師と助産師が必要とされているため、世界保健総会が2020年を看護師・助産師の国際年と定めたことに紐づいています。

実際、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジが実現できるだけの保健医療サービスに関わる労働力が確保できているのは、世界の国々のおよそ半分と推定されています(*1)。不足している半分の国には、日本も含まれます。しかし世界の中でも特に深刻なのは、サブサハラ・アフリカの地域です。

看護師と助産師が支える医療現場

ロシナンテスが事業を展開しているザンビアも例外ではありません。ザンビアの医師、看護師、助産師の数は人口 1,000 人あたり 1.2 人(*2)であり、人口 1,000 人あたりの最低許容密度といわれる、 2.3 人を大きく下回っています。更に、人口1 万人当たりの医師数は、0.913 人となっており、看護師や助産師に比べて医師が不足していることがわかります。こうした医師不足の状況の中で、看護師や助産師は医療現場において重要な役割を果たしています。

現在、ロシナンテスが事業を展開しているチサンバ郡ムワプラ地域の村では、規模の小さな診療所しかありません。ここには、国自体に医師が不足していること、地理的に厳しい地域であることから、医師は配置されていません。そこで、日々村の人々の健康を守っているのが看護師と助産師です。

ムワプラ診療所の助産師(左)と看護師(右)

生まれたばかりの赤ちゃんの世話から、子どもへの予防接種、大人の患者への対応、出産前後のケア等、一般の病院と変わらない多忙な業務を2人でこなしています。人手不足で患者さんが列をつくって待っている場面に出会ったこともあります。時には、街の大きな病院での治療や処置が必要となり搬送する場合もありますが、このヘルスポストではそれまでのケアをしっかりと行っています。

予防接種を行う看護師

しかし、残念ながら公共施設であるはずのこのヘルスポストには、資金難から十分な設備があるとは言えず、薬や検査用品も不十分な状態です。そうした環境の中でも、限られた資源を活用しながら、2人は昼夜を問わず、日々保健医療サービスの提供に力を尽くしています。

こうした素晴らしい尽力に敬意を表するとともに、厳しい状況を改善し、少しでもより良い保健医療サービスが普及するよう、これからも現地のサポートを続けていきます。


*1: Global Burden of Disease Study 2017
*2:Human resources for health planning & development strategy framework(Republic of Zambia Ministry of Health) 2017