特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

ロシナンテスからの活動情報をご案内します。

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日本での活動2023.06.15

ご支援者の皆さまへ無事の帰国を報告

5月29日に、スーダンからの国外退避後初めての報告会をオンラインで開催しました。150人を超える方々に参加していただき大変うれしく思います。

参加してくださった皆さま、お忙しい中お時間をいただきありがとうございました!

皆さまに大変なご心配をおかけしましたが、4月29日、理事長の川原を含むスーダン駐在職員3名は無事日本に帰国することができました。国外退避にあたってお世話になりましたすべての皆さまに心より感謝申し上げます。

国外退避せざるを得なくなった背景

今回スーダンからの国外退避に至ったのは、正規軍と民兵(RSF)の軍事衝突が原因です。

4月23日の朝、首都ハルツームで突然の戦闘が始まりました。

川原の住んでいた寮からも戦闘の大きな音が聞こえてくるほどの、切迫した状況でした。

今回の軍事衝突についての詳しい経緯はこちらのブログに掲載してありますので、ぜひご覧ください。また、国外退避を振り返っている動画もYouTubeにアップロードしてありますので、合わせてご覧ください。

スーダン在住のゼインさんからのメッセージ

会の後半には、10年来のお付き合いがあるゼインさん(28)からのメッセージ動画を流しました。彼も今回の軍事衝突で厳しい状況に置かれているスーダン国民の1人です。現在は戦闘が行われている首都、ハルツームから少し離れたところに家族と一緒に避難しています。しかし食べ物の確保が難しく、一日一食の生活を強いられているとのことです。

動画内で彼は「日本で数年暮らしたとき、『これから』という言葉を学んだ。スーダンと日本の懸け橋になるために、日本人の困難に負けずに未来のことを考える姿をスーダンに伝えていく。」と語りました。

ロシナンテスが支援してきた地域は今

ロシナンテスが学校や水の設備を建設していた地域には、今のところ軍事衝突の危害は及んでいません。学校も給水設備も問題なく運営されています。

子どもたちにこれからの未来を託していきたい。という思いで、まずは現地での身の安全が確保でき次第、スーダンでの支援活動を再開していきたいと考えています。

たくさんのご質問をありがとうございました!

質疑応答の時間では、参加者の皆様から多くの質問を頂きました。

一部をこちらでもご紹介したいと思います。

現地の状況について

  • 現地のスタッフは今どうしているんでしょうか?
    • 戦闘の激しい地域を離れ、避難しています。ハルツームの中心部にいるスタッフは誰もいない状況です。
  • ハルツーム市内の市民はどんな生活状況なんでしょうか。
    • ハルツームの中心部はほとんど人がいないようです。ロシナンテスの事務所が入っている建物のセキュリティースタッフは残ってくれています。何らかの形で食料や水を確保しているのだろうと推測しています。中心部の店は閉まっていますが、郊外に行けば小さな市場は開いていて、そこではものが手に入るそうです。
  • 今まで支援してきた地域でも、国軍とRSFの対立は起きているのでしょうか。支援してきた方たちはどうしているのでしょうか。
    • 郊外や村落部では、大きな対立はほぼ起きていないと思ます。初期に活動していたガダーレフ、栄養改善事業や学校事業を行った来たコルドファンの村の人々とは連絡が取れており、現時点では戦闘に巻き込まれたりはしていないとのことです。ハルツームの郊外、巡回診療や診療所建設を行った地域の人々とは、もともとの通信状況の悪さに加え、軍事衝突後のさらなる悪化で、現時点では連絡が取れていません。

内戦について

  • 現状はまだ停戦合意には至っていないとの理解ですが、停戦合意の見通しはあるのでしょうか。
    • サウジアラビアが積極的に間に入って仲裁していますが、サウジアラビアのバックにはアメリカがいる、と言われています。このままの状態が続くと近隣諸国やヨーロッパに難民が流れかねないので、停戦に向けて真剣に取り組んでいると思います。しかし、落としどころを見つけるのかがかなり難しいと思います。
  • RSFと国軍、双方が譲れない事情にはどんな背景があるのでしょうか。
    • 国の正規軍は、民兵なんかに負けるか、と思っていると思います。一方で、RSFは群衆の中に入り込んでゲリラ戦を展開しています。背後にはロシアやUAEがいますし、金の利権も持っているので、大きなことを言っているのではないかと思います。
  • 停戦合意がされてもやはり軍が政権を取り、当初目指していた民主化は遠くなってしまうのでしょうか。
    • 国軍が実権を握ったのちは、文民の政権を作る予定といわれています。そうでないと、国際社会に復帰できないという面もあるからだと思います。ただ、近隣諸国やアメリカ、中国、ロシアがどう考えているのかも大きく影響すると思います。軍事衝突前は、元のように軍事政権でもよいのではないか、と考える層も増えてきていたのは事実ですが、民主化を求める層が多数であることは間違いありません。

退避について

  • もう少し早く退避する判断はありませんでしたか。
    • 衝突は本当に突発的に起きたので、事前に察して逃げるのは難しかったと思います。衝突後は自宅や事務所のある市街地が戦闘の場となってしまったため、自力での退避はほぼ不可能な状況でした。退避に力を貸してくれた方々には本当に感謝しています。

今後の活動について

  • ロシナンテスの活動再開はどの時点で行われていくのでしょうか。
    • 今は情報収集に努めている段階です。活動再開については、現地スタッフが動けるようになる、というのが第一段階だと考えています。現地スタッフが動けるようになった段階で、日本人スタッフの現地入りを検討することになると思います。とにかく身の安全を確保しながら、段階を経て活動再開を目指していくことになると思います。

川原のスーダンへの思い

  • スーダンで活動していて日本人で良かったと思うことはありますか。
    • スーダンでは圧倒的に中国の存在感が強いのですが、日本製品に対しての信頼は大きいです。また戦争に負けてもよく這い上がってきた、と思っているようです。我々も、子供や孫の世代にも日本人で良かったと思ってもらえるように頑張らないといけないなと思います。
  • 100年後のスーダン国民に向けて、またその社会を築くこれからの世代に向けて何かメッセージを頂けますか。
    • 日本も協力して、争いのない素晴らしい国になっていることを夢想します。をれを夢想するからこそ今頑張れるというのもあります。

スーダンのために、私たちには何ができるだろう

さらに報告会の最後には10分ほど時間をとり、参加者の皆様に「スーダンのために、私たちが今できること」というお題で、たくさんのアイディアを出して頂きました。

出してくださったアイディアをzoomの付箋機能を使って書き出していくと、あっという間に画面が付箋で埋まっていきました。「まずはスーダンのことを調べてみる」というものから「フェアトレード商品を購入する」や「留学生・難民をもっと受け入れる」といったものまで、様々な視点からのアイディアが集まりました。

私たちも、自分たちでは思いつかなかった皆さまからのアイディアを伺える、刺激ある機会になりました。参加してくださった皆さま、たくさんのアイディアをお寄せいただきありがとうございました!また、出してくださったアイディアを画像にまとめましたので、ぜひご覧ください。

今回の報告会は参加者の皆様のお声やお顔が拝見できない形の開催ではありましたが、多くの質問やリアクションをくださり、本当にありがとうございました。

今回は参加できなかった方も、また次の機会にてご参加を心よりお待ちしております。