包括と特定の違いって?遺贈の種類といくつかの遺し方[そよ風コラムvol.6]
皆さまから多くいただく疑問の声にお答えするシリーズ、そよ風コラム。専門家の皆さまの力をお借りしながら、職員が日々学んだことを記していきます。

遺贈は、民法第964条により以下のように定められた権利です。
- 民法第964条(包括遺贈及び特定遺贈)
- 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。
遺贈の意思は「遺言」に書いて表現します。遺言とは、本人の生前の意思を反映し、自分が亡くなった後に残した財産や権利の分配方法を示すことを指し、「遺言書」という法的効力のある文書を作成します。自分の意志を反映させた遺贈を行うには、法的に有効な遺言書を正しく作成することが必要です。
2つの形式:「包括遺贈」と「特定遺贈」
最も一般的な遺言による遺贈には、主に2つの形があります。
- 包括遺贈
「自分の全財産及び全債務の○%を○○団体に包括して遺贈する」といったように、財産全体から一定の割合や全部を遺贈する方法です。この形式では、寄付先の団体が相続人と同じように、財産の一部(時には負債を含む)を包括的に引き継ぐことになります。 - 特定遺贈
「預金のうち100万円を○○団体に遺贈する」といったように、具体的な財産を指定して寄付する方法です。寄付先の団体にとっては比較的負担が少なく、実務的にも取り扱いやすい形式です。

また遺贈寄付を希望する場合、いくつかの注意点もあります。
- 遺言書の形式に注意:法的効力のある遺言でなければ、遺贈は実現しません。専門家とも相談の上、形式不備で無効にならないよう注意する必要があります。
- 寄付先の団体と事前に相談を:突然遺贈寄付が発生しても団体が対応できない場合があります。事前に意思を伝え、団体の受け入れ体制や使い道などを確認できると安心です。
- 相続人との関係を考慮する:遺贈寄付を行うことで相続人との関係が悪化しないよう、話し合いを持つ、付言事項などで想いを丁寧に伝えるなどの工夫が必要です。
遺贈寄付は「死後に行う寄付」というイメージがありますが、実際には生前からの“対話”と“計画”が大切です。
遺贈寄付の意思の遺し方
遺贈寄付の意思にはいくつかの遺し方があります。最も一般的な方法は、これまでご紹介してきた遺贈を含む財産の配分について遺言書を作成しておく方法ですが、そのほかにも、生前に自分で手続きのできる「死因贈与契約による寄付」「生命保険による寄付」「信託による寄付」などがあります。
生前
| 遺言による寄付 | 財産の全部または一部を非営利団体等に寄付することを遺言で残す |
| 死因贈与契約による寄付 | 寄付者が非営利団体等との間で死亡後に寄付が実行される内容の贈与契約を締結する |
| 生命保険による寄付 | 寄付者が生命保険に加入し、死亡保険金の受取人に非営利団体等を指定する |
| 信託による寄付 | 信託を引き受ける者との契約によって財産の全部または一部を非営利団体等に寄付することを約する |
法的な効力はありませんが、手紙やエンディングノートなどに遺産の一部を非営利団体等に寄付してほしい旨を書いておき、それを見た相続人が行う「相続財産の寄付」「香典返し寄付」などもあります。
死後
| 相続財産の寄付 | 手紙、エンディングノート、言葉などで遺族に相続財産の全部または一部を寄付することを伝える |
| 香典返し寄付 | 遺族が香典のお返しに代えて、故人が支援していた団体に寄付する |
「遺贈寄付」は、誰にとっても選べる選択肢
「遺贈寄付」と聞くと、自分には関係のない遠い話だと感じるかもしれません。けれども、実際には大きな財産である必要はありません。たとえば「金融資産の10分の1」や「金5万円」など、さまざまな形で遺贈は可能です。
齋藤さんも「金額の大小より、“遺したい想い”の方が大切」と話します。あなたの人生で培った知恵や価値観を、次の世代の“誰か”に託す――そんな希望のバトンとして、遺贈寄付は非常に有効な手段なのです。
次回は、遺言書の作成について詳しくお伺いします。
