特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

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2022.07.27

スーダンの診療所に安全な水を!ハフィールの改修が完了

ワッド・シュウェイン村の診療所が抱える水の問題を解決し、運営を軌道に乗せることを目指し進めてきたハフィール(ため池)改修プロジェクトが完了いたしました。

事業概要

●事業地:ハルツーム州シャルガニール地域ワッドアブサーレ区ワッド・シュウェイン村
●事業内容:ハフィール改修事業及び啓発活動
●受益者数:ワッド・シュウェイン診療所及び近隣住民2,000人及び家畜8,000頭
●事業実施現地パートナー機関:ハルツーム州水公社

事業について詳しくはこちら

主な作業内容

  • 既存のハフィールの横に新しく深いハフィールを追加し連結し、十分な水量を貯められる状態にする
  • 家畜が侵入して水を汚染しないよう、フェンスや家畜用の水飲み場の設置
  • 浄水システムや、水をくみ上げるための動力であるソーラーパネルの設置

完成したハフィール設備

これまで掘削の様子などをご紹介してまいりましたが、この度工事が完了いたしました。”ため池”の改修のため、井戸と異なり「出来上がった!」感が少ないのですが…ご紹介させてください。

水量確保のために貯水池を掘削

深さが足りないために、乾季になると干上がってしまうことが課題の旧ハフィールの横に、縦75m、横60m、深さ4mの貯水池を掘削しました。淵にスロープがあり、15,000㎥の水が貯水できます。

家畜の侵入を防ぐための堤防・フェンス

ハフィール貯水池の周りに高さ2.5mの堤防と、その上に高さ1.5mのフェンスを設置しました。これにより、家畜がハフィールに侵入して水に糞尿が混じるのを防ぐことができます。家畜用の水飲み場は、別途フェンスの外側に設置しました。
出入り口は下記のように施錠できるようになっており、村の水委員会が鍵を管理します。

インレットシステム(注水井、泥どめ、排水路)

空から降る雨の他、地表を流れてくる雨水をハフィールの貯水池に取り込むためのシステムです。2mの堤防(排水路)で地表の雨水を受け止め、長さ100mの注水壕から繋がる縦60m×横20m×深さ0.5mの泥どめの中に設置された深さ4mの注水井を通して、ハフィールの貯水池に水が流れ込むように設計されています。

アウトレットシステム(取水井、浄水槽、高架タンク、ソーラーパネル)

ハフィールの水を浄化し、人や家畜に届けるシステムです。ハフィールの水面にプラスチックホースにつながった取水口を浮かべ、6mの深さの取水井にハフィールの水を取り込みます。取水井の下部には異なる粗さの土砂層からなる緩速砂ろ過装置があり、ここを通過することでハフィールの水が浄化されます。緩速砂ろ過装置を通った後の水は、隣の浄水槽に貯められます。

上水槽の水は、ソーラーパネルの動力で動かされるポンプによって高架タンクに汲み上げられます。

タンクに貯水された水は、人間用、給水トラック用、家畜用の給水場からそれぞれ給水することができます。

ハフィールが改修されたことで…

これまで必要な量の水を使用できない、汚染された水しか手に入らないなど、様々な課題を抱えていたワッド・シュウェイン診療所で、清潔な水が必要な時に利用できるようになります。

また、乾季になると水が足りなくなり、4-5時間かけて遠くまで水を汲みに行ったり、高いお金を払って給水車から水を購入したりするしかなかった近隣住民2,000人及び家畜8,000頭も、十分な量の水を近くで手に入れられるようになります。

今後は、ハフィールにある程度雨水が貯まる雨季(7月末以降)を待ち、村の水委員会に対してハフィールの管理方法の研修を、村人に対して水衛生に関する啓発活動を実施する予定です。雨季で水が貯まった際には、また皆さまにも続報をお届けできればと思っております。